婚姻費用・養育費算定表で子の年齢区分を2区分としているのはなぜ? |大田区の離婚・慰謝料請求に強い弁護士

京浜蒲田法律事務所
初回相談無料

[まずはお気軽にご電話ください]

 03-6424-8328

平日:9:00〜21:00

メールでの相談予約随時受付

婚姻費用・養育費算定表で子の年齢区分を2区分としているのはなぜ?

1 はじめに

家庭裁判所では、婚姻費用及び養育費を算定するに当たり、いわゆる算定表が利用されています。

算定表は、夫婦双方の収入状況、子の有無・数・年齢などを参考にして、簡易迅速に婚姻費用及び養育費を算定できるよう提案されたものです。なお、この算定表は、提案から15年以上経過した令和元年12月、家庭の収入や支出の実態等の変化に対応するため、改定されました(これを「改定標準算定方式・算定表」といいます。)。

 

算定表は、裁判所のHPで確認することができます。

 

2 算定表の年齢区分についての見解

家庭裁判所が採用している算定表は、子どもの年齢区分を「0歳から14歳まで」と「15歳から19歳まで」の2区分としています。

 

この考え方に対しては、乳幼児や小中学生と同じ区分とする点で生活実態とかけ離れているという異論もあります。

この異論は、子どもの生活費指数を0歳~5歳(未就学児)、6歳~11歳(小学生)、12歳~14歳(中学生)、15歳~19歳(高校生等)の4区分とした上で、算定表においては、6歳から14歳までをひとまとめにして、0歳~5歳(未就学児)、6歳~14歳(小中学生)、15~19歳(高校生)の3区分で算定する考え方を提案しています。

 

3 子どもの年齢区分を2区分としている理由

異なる考え方が存在するにもかかわらず、家庭裁判所の採用する算定表が子どもの年齢区分を2区分とする理由としては、次のことが挙げられます。

 

・乳幼児については、教育費はかからないものの、親が働くためには保育機関を利用する必要があり、そのためには少なからず費用がかかります。また、子どもが幼いうちは体調不良や病気で病院にかかることも少なくなく、その場合の治療費負担(支出)や欠勤による収入の減少といった事態も起こり得ます。

・幼稚園や小学校では、中学校と同様、学習教育費は一定程度かかっており、乳幼児・小学生と中学生とでかかる費用に差がある(乳幼児・小学生にかかる費用の方が低い)ことをもって、0~11歳と12~14歳で年齢区分を分けるほどの生活実態の差があるとは言い難いと考えられます。

・義務教育機関である公立小学校・公立中学校においては、授業料及び教科書が無償であるのに対し、高校以上では、基本的に授業料は有償という明らかな違いがあります。さらに、統計によると、長子が中学生の段階と高校以上の段階を比較すると、後者における教育費の支出が格段に多いという結果となっています。

 

4 まとめ

以上の理由により、0歳~14歳までの年齢区分をさらに細分化する必要性は乏しく、その一方で、0歳~14歳と15歳~19歳は別区分にする必要性があるということになり、算定表は、「0歳から14歳まで」と「15歳から19歳まで」の2区分を採用しています。

 

 

 

その他のコラム

不動産収入は婚姻費用・養育費算定の基礎となるか?

1 はじめに 婚姻費用や養育費の算定は、給与所得や事業所得を基礎にして行うことが通常です。   もっとも、中には、夫婦の一方又は双方に不動産収入(家賃収入)が存在することがあります。 この場合、婚姻費用や養育費の算定に当たり、給与所得や事業所得の他に、不動産収入も基礎とすることができるかという問題があります。   この問題に関する裁判例を見てみましょう。   ...

年末年始休業のお知らせ

誠に勝手ながら、当事務所は、令和3年12月29日(水)から令和4年1月3日(月)まで年末年始休業となります(土日祝日は営業時間外です)。   期間中は大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解賜ります様、お願い申し上げます。   なお、メールでのお問い合わせは随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。     &nbs...

DV等被害者への支援措置(住民票等の閲覧制限)2

前回のコラム(詳しくはこちら)に続き、DV等被害者への支援措置についてお話しします。   1 閲覧制限の対象 支援措置によって加害者による閲覧・交付が制限(拒否)されるものは、次のとおりです。   ①住民基本台帳 ②住民票(現住所地) ③住民票除票(前住所地) ④戸籍の附票(現本籍地) ⑤戸籍の附票(前本籍地)   現在の住民票や戸籍の附票...

養育費支払いの終期

1 はじめに 養育費支払いの終期とは、子どもがいくつになるまで養育費を支払う必要があるかという終わりの時点の問題です。   2 養育費を支払うべき「未成熟子」とは? 養育費は、子どもを監護していない親(非監護親)から監護している親(監護親)に対し、未成熟子の養育のために支払われる費用です。   ここでいう「未成熟子」とは、「未成年者」と同じ意味ではなく、一般的、社会的に見て、子が経済...

財産分与で控訴するかは慎重に(財産分与における不利益変更禁止の原則の不適用)

1 不利益変更禁止の原則とは? 民事訴訟法304条は、第二審(控訴審)における判決について、「第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、することができる」と規定しています。   民事訴訟では、当事者が申し立てていない事項について判断をすることはできないとされています(民事訴訟法246条。これを処分権主義といいます。)。 この原則に基づき、第二審(控訴審)において審理・判断の対象と...

離婚・男女問題無料相談ご予約。
まずはお気軽にお問合せください