過失割合が納得いかない |大田区で交通事故の弁護士相談

京浜蒲田法律事務所

過失割合が納得いかない

1.過失割合とは?

1-1 過失割合は事故に対する当事者の責任の割合を示すもの

交通事故における過失割合とは、責任割合とも言い換えることができ、要は、発生した交通事故に対する各当事者それぞれの責任の割合を意味します。
 
交通事故は、基本的に、わざと(故意に)起こすものではなく、不注意(過失)によって発生するものです。
この不注意(過失)が事故の原因であることから、過失の程度(重い・軽い)に応じて交通事故に対する責任を負担することになります。
 

1-2 過失があると過失相殺(減額処理)がされる

交通事故の当事者が2人の場合、過失割合としては、100%:0%、90%:10%、70%:30%、50%:50%など、事故状況に応じて様々な割合が想定されます。
 
停止車両に対する後方からの玉突き事故やセンターラインオーバー事故のように、加害者にのみ過失が認められる場合は、加害者100%:被害者0%となります。
この場合、加害者は、被害者に生じた損害の全額を賠償する必要があります。
 
これに対し、交差点での出会い頭での事故であったり、交差点での直進車と右折車の事故などのように、多くの事故類型では、加害者だけでなく被害者にも一定の過失が認められます。
例えば、加害者80%:被害者20%の事故である場合、20%は被害者自身の責任となります。
そのため、加害者に対して請求できるのは損害額の合計のうち80%の範囲に限られ、20%のの範囲で損害額から控除(減額処理)されることになります。
 

1-3 交通事故において過失割合が重要である理由

交通事故において過失割合が重要である理由、それは過失割合が請求金額に多大な影響を及ぼすからです。
 
例えば、事故によって被害者が受けた損害額の合計が1000万円だったとして、過失割合が加害者90%:被害者10%である場合、1000万円×10%=100万円の範囲で被害者の自己責任となるため、1000万円-100万円=900万円の限度で加害者に請求できることになります。
 
これに対し、上記の例で、過失割合が加害者70%:被害者30%である場合、1000万円×30%=300万円の範囲で被害者の自己責任となるため、1000万円-300万円=700万円の限度で加害者に請求できるにとどまり、前のケースと比べて200万円も請求できないことになります。
 
このように、過失割合は加害者に請求できる損害額、引いては被害者救済に多大な影響を及ぼすのです。
 

2.過失割合の決め方

交通事故実務上、過失割合の決め方には一定のルールがあります。
そのルールを知っておくことで、客観的に妥当な過失割合について、見通しを立てやすくなります。
 

2-1 過失割合の決定方法

交通事故賠償では、これまでに蓄積されてきた数多のケースに基づき、事故類型ごとに基準となる過失割合が定められています。
 
この事故類型ごとに過失割合の基準を定めたものが、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]』 別冊判例タイムズ38号(東京地裁民事交通訴訟研究会編)という文献です。
裁判所、損害保険会社、弁護士など、民事交通事故賠償に携わる者が必ず参照する基準です。
 
この基準の中から自身の事故と同じ事故類型を探し、該当する事故類型がある場合、事故類型ごとに、90%:10%、80%:20%などの基本過失割合が定められていますので、この基本割合が原則的な過失割合となります。
 
ただし、事故類型ごとに、「合図なし」や「早回り右折」などの基本過失割合を変更する修正要素というものが定められています。
この修正要素が認められる場合、加害者の過失割合が10%重くなったり、被害者の過失割合が10%軽くなるなど、基本過失割合が修正されます。
そのため、ご自身の事故がどの事故類型に該当しそうかということを検索するだけでなく、自己に有利な修正要素はないか、ある場合にその修正要素に該当する事実を証明できそうか、反対に自己に不利となりそうな修正要素はないか、といった検討が重要となります。
 
こうした基本過失割合、修正要素を踏まえながら、被害者と保険会社との間で意見や主張を出し合い、証拠の有り・無しを踏まえての見通しなどを考慮した上で、過失割合を決定することになります。
 

2-2 保険会社が提示する過失割合が妥当かどうかは吟味が必要

任意保険に加入していないケースでは、当事者同士で話し合って過失割合を決めることになります。
 
任意保険に加入しているケースでは、被害者と加害者側の任意保険会社の担当者との間で話し合って過失割合を決めることになります。
 
ただし、保険会社が提示する過失割合が常に妥当であるとは限りません。
過失割合決定の基となる事故状況(事故当時のスピード、一時停止や徐行の有無等)について主張の食い違いがある場合、適用する事故類型も双方で主張が異なる可能性もあります。
 
また、適用する事故類型が一致するとしても、保険会社が主張する過失割合が、被害者にとって不利な修正要素を踏まえたものであることもありますし、反対に、加害者にとって不利な修正要素が適用される可能性があるにもかかわらず、保険会社がこの点を考慮しないといったことも起こり得ます。
 
ですので、保険会社が提示する過失割合を安易に受け入れず、その過失割合が妥当と言えるのか、事故の状況や、事故状況についてどの程度の証明ができそうかといったことを踏まえながら、過失割合の内容を吟味する必要があります。
 

3.過失割合で揉めがちな理由

過失割合についてもめやすいケースがいくつかありますので、次にそれらを見ていきましょう。
 

3-1 修正要素があるかどうか

既に述べたとおり、交通事故の過失割合は、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]』に載っている各事故類型の中から、自身の事故と同じ事故類型を検索し、その事故類型の基本過失割合が原則的な過失割合となります。
 
ただし、修正要素が認められる場合、過失割合は修正されます。
修正要素は事故類型ごとに定められており、「15km以上の速度違反」、「早回り右折」、「合図なし」、「一時停止後進入」など、様々です。
修正要素によっては、10~20%の範囲で過失が有利又は不利に修正されることになり、被害者の損害賠償額に相当の影響を及ぼします。
それ故に、修正要素の適用を巡って、被害者と保険会社との間で対立が生じやすくなります。
 

3-2 『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』に載っていないケース

これまで何度も、交通事故の過失割合は、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]』に載っている各事故類型を参照するとお話ししてきましたが、中には、基準となる事故類型が載っていないケース、どの事故類型にも類似しないケースもあります。
 
基準となる事故類型が見つからないから過失割合を決められない、決めなくてよいということにはならず、このようなケースであっても過失割合を決める必要があります。
しかし、基準となる事故類型がないことから、当事者双方が自己に有利な主張することにより、過失割合の内容が大きく食い違うことがあります。
 
このような場合に比較的よく採られる方法は、過去の裁判例から類似するものを検索し、その類似裁判例での過失割合を参考にするという方法です。
過失割合が争点となった裁判例は数多く存在するところ、これらの裁判例はデータベース化され、「十字路交差点での事故」や「交差点以外での事故」、「車両対車両」、「車両対歩行者」といった具合で類似の裁判例を検索することができます。
その中から類似する裁判例を見つけ出し、その裁判例の過失割合に対する判決内容も確認した上で、自己の過失割合の主張の基礎にするのです。
この方法は、交通事故賠償実務でよく採られる方法です。
 

3-3 損害額が大きい

被害者が主張する過失割合と加害者側の保険会社が主張する過失割合とで20%の差があるとした場合、被害者の損害額が100万円であれば20%の差は20万円ですが、損害額が1000万円であればその差は200万円となり、1億円となればその差は2000万円となり、損害額が大きくなればなるほど、必然的に過失割合が賠償額に及ぼす影響も大きくなります。
 
それ故に、損害額がそこまで大きくないケースでは、過失割合について双方が折り合って示談でまとめるということはよくありますが、損害額が大きくなるケースでは、双方が過失割合について自己の主張を譲らず、示談で決着せず訴訟まで発展することも珍しくありません。
 

4.過失割合に争いがある場合の解決方法

4-1 示談での解決

過失割合について争いがある場合でも、被害者と加害者側保険会社との間で交渉を行い、最終的に訴訟等までいかずに示談で解決するケースは統計的に多いと思います。
 
既に述べたとおり、過失割合については、事故類型ごとに過失割合の認定基準が定められています。
そのため、この基準を無視して、ただ単に自己に有利な過失割合を主張しても、その主張が通る見込みは限りなく低いと言わざるを得ません。
 
まずは、自身の事故がどの事故類型に該当しそうかの検討、また、加害者側保険会社が考えている事故類型が、こちらが考えている事故類型と同じか異なるのかの確認が必要です。
 
仮に、被害者が考える事故類型と保険会社が考える事故類型が異なる場合、結論としての過失割合の対立も大きいことが多いと思います。
その場合、示談交渉ですり合わせをすることは容易でなく、訴訟等での解決が必要となる可能性が高まります。
 
被害者と保険会社とで事故類型が一致する場合、あとは修正要素の適用の余地がありそうかの検討が必要です。
自己に有利な修正要素が認められることに越したことはありませんが、そのためには証拠が必要です。
最も基本かつ重要なところで言えばドライブレコーダーや警察が作成する実況見分調書、あとは防犯カメラや目撃証言等の証拠があるか否か、ある場合その証拠によって修正要素の適用を証明できそうかどうかの検討が必要となります。
 
基準となる事故類型の中に自己の事故と類似する類型が見つからない場合は、過去の裁判例の中から類似するケースを検索し、その判決内容を踏まえて過失割合がどうなりそうか検討します。
 
こうした確認・検討を踏まえ、被害者と加害者側保険会社との間で、一定の過失割合とすることで合意に至れば、訴訟等までには至らず、示談で解決となります。
 

4-2 ADRでの解決

ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略で、裁判外紛争解決のことを言います。
文字通り、裁判所以外の第三者が中立的な立場に立ち、当事者双方の言い分を聞き取った上で、専門家としての知見を活かし、和解のあっせん等を行います。
 
代表的なものとして、「公益財団法人 交通事故紛争処理センター」という機関があります。
東京、大阪、名古屋、福岡をはじめ、全国の主要都市にセンターや相談室が置かれており、利用に係る費用は無料です。
 
示談での解決は困難であるものの、争点がそこまで多くない、あるいは争点が比較的シンプルといったケースでは、紛争処理センターのあっせんによって和解が成立する可能性は比較的高く、その場合、訴訟に費やす時間や費用よりも少なく・低くて済みます。
 
他方、紛争処理センターの担当者(相談員)はあくまでも中立公平な立場であり、被害者の申立てによって示談交渉時より条件が有利になるとは限りません。
 
また、センターでの和解ができなかった場合、申立人が希望すれば審査という手続に移行する決まりですが、保険会社が審査意向を認めず、訴訟移行を要請することがあります。
このような場合に、センターが審査に移行せずに手続を終了させることを適当と認めた場合、紛争解決とはならないため、訴訟提起する必要があります。
 

4-3 調停での解決

交通事故に係る調停は交通調停と呼びます。
調停は、裁判所において、調停委員会が中立公平の第三者として紛争当事者を仲介し、双方の主張や立証を踏まえながら、話合いにより紛争の解決を図る手続です。
 
調停委員会は、裁判官1名、調停委員2名で構成されます。
概ね1か月~2か月に1回のペースで調停期日が入り、主張と証拠を出し合いながら、争点の整理や解決策の模索をしていくことになります。
 
話合いがまとまり、調停成立となる場合、その内容は判決と同等の効力を持ちます。
調停に代わる決定がなされることもありますが、これも同様の効力を持ちます。
 
他方、調停は話合いの手続であるため、当事者間の主張の対立が激しく、合意を形成することが難しい場合、調停での解決は困難となります。
 

4-4 訴訟での解決

示談交渉やADR等での解決が困難な場合、裁判所へ訴訟提起することにより、解決を図ることになります。
 
訴訟手続では、当事者双方がそれぞれ自己の主張や、その主張を裏付ける証拠を出し合います。
主張や証拠を出していく中で、争点は何か、その争点に対する当事者双方の主張と証拠の内容は何かといったように、争点と主張・証拠の整理を行います。
 
概ね1か月~2か月に1回のペースで訴訟期日が入ります。
期日を重ね、当事者双方の主張と証拠が一通り出尽くしたところで、多くのケースでは、裁判所から判決を見据えた上での和解案が示されます。
その内容に双方が同意すれば、判決まで至ることなく、訴訟上の和解で決着することになります。
 
これに対し、およそ和解が期待できないケースや、裁判所の和解案が提示されたものの、当事者の一方又は双方がその和解案に同意しない場合、和解協議は決裂し、尋問手続を実施し、最終的に判決で結論が示されることになります。
 
示談交渉段階で、保険会社が理不尽な主張をする場合や損害を過小評価しており、訴訟を起こすことにより条件が良くなる見込みがある場合、訴訟上の和解や判決によって交渉時よりも有利な内容で解決となることが期待できます。
 
他方、訴訟手続ではそれ相応の時間を要し、訴訟提起から解決まで1~2年かかることもあります。
また、一般的に交渉から訴訟に行くに連れて、費用も追加でかかります。
さらに、争点の内容や、当事者から提出される証拠の内容等によっては、被害者にとってシビアな和解案や判決が出ることもあります。
 

5 過失割合に納得いかないときは、交通事故に詳しい当事務所にご相談ください

既に述べたとおり、過失割合は損害賠償額に多大な影響を及ぼすものであり、非常に重要な問題です。
 
過失割合の決め方には一定のルールがあり、そのルールに則りつつ、事故状況に関する証拠の有無・内容も踏まえながら、どこまで主張できそうか、認められそうかという判断が必要となります。
 
また、類似の事故類型が見当たらない場合、過去の裁判例のデータベースから類似するケースを探すことが必要となるところ、これを一般の方が行うことは困難です。
 
こうしたことから、過失割合についてお悩みの方は、交通事故に詳しい当事務所の弁護士にご相談ください。
 
大田区にある京浜蒲田法律事務所では、これまで培ってきた経験に基づき、被害者にとって最も有利な過失割合は何か、その過失割合になる見込みはどの程度ありそうかといったことを入念に検討し、提案し、主張することで、被害者にとってベストな解決を目指します。

無料相談実施中実質無料でご利用いただけます!※弁護士費用特約加入者の場合

大田区で交通事故の無料相談なら京浜蒲田法律事務所

初回無料相談実施中/[電話受付時間]  平日 9:00〜21:00 メールご相談予約は24時間365日受付中