むち打ち症で後遺障害等級非該当から異議申立てによって併合14級を獲得。示談交渉によって、自賠責保険からの支払い分を含めて約325万円を獲得したケース
- 40代/女性/車対車
- 傷病名
- 頸椎捻挫、腰部座礁等
- 等級
- 非該当→異議申立てで14級9号
- 保険会社提示金額約80万円
- 弁護士依頼後約250万円(別途自賠責保険から75万円獲得)
- 増額した賠償金
- 約170万円
ご相談の概要
被害者(40代女性、兼業主婦)が自動車に乗って信号待ちで停止していたところ、後方からきた車両に追突されたという交通事故です。被害者は、頚椎捻挫、腰部挫傷等の傷害を負いました。
交通事故発生から約7ヶ月近く通院した後、症状固定となり、加害者側保険会社を通じての後遺障害等級申請(いわゆる事前認定)を行ったところ、結果は非該当でした。非該当の結果を受け、加害者側保険会社からは、賠償金として約80万円が提示されました。
被害者は、非該当の結果及び保険会社の提示金額に納得できず、ご依頼を頂きました。
解決に向けた活動
弁護士において、既に作成されていた後遺障害診断書の内容を確認したところ、検査結果の記載や、症状の見通しについての記載が必ずしも十分とは言えない内容でした。そこで、同じ医師の下で、追加で検査を実施して頂き、陽性反応であったことから、その結果を記載した後遺障害診断書を改めて作成して頂きました。また、追加の資料として、診療録(カルテ)も取り付けました。その上で、異議申立ての趣旨として、神経学的検査で陽性反応が出ていることや、通院頻度が高いことなどをできる限り詳細に主張しました。さらに、被害者は症状固定後も自覚症状がおさまらず、通院を継続していたことから、この事情も理由の一つとしました。
そうしたところ、非該当であった自賠責保険の判断が覆り、頸椎捻挫、腰部挫傷ともに14級9号(併合14級)の認定を受けました。
併合14級獲得後、保険会社との示談交渉となりました。保険会社は、家事従事者としての休業損害について労働能力喪失率を争う他、後遺症逸失利益の労働能力喪失期間は3年、傷害慰謝料、後遺症慰謝料は裁判基準の金額の80%などと主張し、合計額で相応の開きがありました。このままでは示談相当とは言えないと考え、被害者に係る個別的事情や、14級に関する裁判例を踏まえながら、繰り返し増額を求めました。この増額交渉を続けた結果、保険会社より、最大限の金額として約250万円が提示されました。訴訟となった場合、休業損害についてはもう少し増額の余地も考えられましたが、訴訟に要する時間や見通しを考えた場合、約250万円は妥当と言えたため、示談することにしました。保険会社の当初の提示金額約80万円から3倍以上増額した金額で解決となりました。
解決のポイント
たとえ14級であったとしても、後遺障害等級に該当するか否かは、損害賠償金額に多大な影響を及ぼします。等級に該当すればその分賠償金額は大きくなりますし、非該当の場合、相対的に金額は低くなります。賠償金額に及ぼす影響は、等級内容や被害者の収入によって変わりますが、一番低い等級の14級であっても、被害者の場合と比べて、100万円~200万円近くの範囲で変わることもあります。
一般的に、自賠責保険に対する異議申立てによって判断が覆る確率は低いとされており、非該当の状態から等級を獲得するためには、追加の検査結果、カルテ等の医学的な追加立証が必要です。
本件においては、改めて取得した後遺障害診断書の内容が、将来にわたって回復困難と見込まれる内容であったことや、診療録(カルテ)の取付けを行い、診療録に基づいて被害者の自覚症状を主張したこと等がかかる医学的な追加立証に基づいて、異議の内容を訴えたことが功を奏したのではないかと感じました。
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