股関節の著しい機能障害(可動域制限)により10級11号、腰椎圧迫骨折後の脊柱の変形につき11級7号等(併合9級)に該当した被害者につき、自賠責保険からの支払い分を含めて、約900万円で示談したケース
- 70代/男性/二輪対車
- 傷病名
- 左大腿骨転子部骨折、腰椎圧迫骨折等
- 等級
- 10級11号、11級7号→併合9級
- 保険会社提示金額(事前提示なし)
- 弁護士依頼後約900万円(自賠責保険分を含む)
- 増額した賠償金
ご相談の概要
被害者(70代男性・年金受給者)が原動機付自転車に乗り、十字路交差点を青信号で進入したところ、対向する四輪自動車が右折してきたため、衝突したという交通事故です。被害者は、左大腿骨転子部骨折、腰椎圧迫骨折、左中指開放性骨折等の重傷を負いました。
被害者がご高齢及び骨折箇所が多数存在していたことから、長期の入院を余儀なくされました。被害者のご親族が入院付添い等の対応を行っていましたが、加害者側保険会社との対応等に疲弊してしまったということで、弁護士費用補償特約はありませんでしたが、ご依頼を頂きました。
過失割合と物損については大きな争点は生じませんでしたが、被害者がバイクに乗っていた際の交通事故であったため、多くの部位で骨折の所見が認められる等重傷の状態でした。
被害者は、お怪我の程度が大きいこと、後遺障害等級申請手続等解決までの流れがよく分からないこと等に不安を感じ、ご依頼を頂きました。
解決に向けた活動
過失割合及び物損(原動機付自転車の時価額等)については、大きな争点もなかったことから、先行示談しました。
一方、人損については、お怪我をされた部位が多岐にわたるため、数ヶ月にわたる入院を余儀なくされました。症状固定時、被害者には、昇降動作困難、立位時の腰痛、骨折した手で物を持つことが困難である等の自覚症状が残存していたことから、後遺障害等級申請を行うことにしました。被害部位が複数あることから、後遺障害等級申請手続において漏れがないよう、後遺障害診断書を作成して頂く医師に対して、考えられ得る後遺障害に関する所見や検査結果の記載を依頼しました。これによって作成された後遺障害診断書に基づいて後遺障害等級申請を行ったところ、左股関節について、右股関節と比べて可動域が2分の1以下に制限されているとして10級11号、脊柱の変形として11級7号、左薬指の可動域が2分の1以下に制限されているとして12級10号にそれぞれ該当し、最も重い等級である10級から1等級繰り上げられ、併合9級となりました。
自賠責保険の認定理由を精査したところ、認定結果には妥当性があると考えられ、被害者にもご了承頂いたことから、保険会社との示談交渉となりました。交通事故時、被害者は年金生活であったことから、休業損害や後遺症逸失利益は問題とならず、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、入院付添費等が中心となりました。保険会社は、裁判基準の金額の85%などと主張しましたが、そこからの増額を求め、最終的に自賠責保険からの支払い分を含めて、約900万円で示談となりました。
解決のポイント
後遺障害が残存する部位が複数ある場合、それぞれの該当等級によっては、重い方の等級が繰り上がることになります(併合等級)。そのため、複数の部位について後遺障害が見込まれる場合、それぞれの部位につき、考えられ得る後遺障害の内容を見越して、後遺障害申請の準備を行う必要があります。本件はまさにその必要性を感じた案件でした。
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