物損事案の過失割合につき、加害者側保険会社が当初、加害者50%:被害者50%と主張していたのに対し、弁護士による交渉の結果、加害者80%:被害者20%で示談したケース
- 50代/男性/二輪対車
- 傷病名
- (怪我なし)
- 等級
- (等級なし)
- 保険会社提示金額過失割合50:50
- 弁護士依頼後過失割合80:20(依頼者)
- 増額した賠償金
ご相談の概要
被害者(50代男性、会社員)の運転する自動車が、信号機のない丁字路交差点において、対向車両が通過した後に右折しようとしていたところ、右側後方から同一方向に進行してきたバイクが、被害者の自動車の右側を通過して追い越そうとしたため、衝突したという交通事故です。幸いに被害者本人に怪我はありませんでしたが、被害者の自動車は60万円以上の修理費を要する状態となりました(時価額は約50万円であったため、経済的全損の状態でした。)。
交通事故発生直後から、加害者は、被害者の方が過失が大きいと主張していました。加害者側保険会社が窓口となった後も、他の裁判例のうち、四輪自動車の過失の方が大きい事案を引き合いに出した上で、譲歩できたとして、加害者50%:被害者50%であるとの主張に固執しました。そのため、被害者はこれに納得ができず、ご相談を頂きました。
解決に向けた活動
過失割合に関して、加害者側は、被害者の車両が右折する際、道路中央に寄っていなかった、右折ウインカーを出していなかったなどと主張していました。しかし、被害者から交通事故の状況の詳細を聞く限り、加害者の主張内容には違和感を覚えました。そこで、弁護士において、管轄警察署から物件事故報告書を取り寄せる他、加害者側保険会社のアジャスターが作成した現場見取図(事故状況図)等も取り寄せた上で、事故状況を精査しました。その結果、被害者は右折に際して予め道路中央に寄り、右ウインカーを点灯させていたものであって、加害者のバイクが対向車線にはみ出す形で、右側後方から無理に追い越そうとしたことが交通事故の主な原因であると考えました。そこで、これらの資料に基づき、被害者から聞いた交通事故の状況の主張及び加害者の主張する事故状況への反論を行いました。併せて、被害者の主張する事故状況に基づき、過失割合は、加害者85%:被害者15%を下らないと主張しました。
これに対し、保険会社の応答は、やはり譲歩できたとして加害者50%:被害者50%というものでした。そうであれば、訴訟もやむを得ないと回答したところ、保険会社と加害者の間で再度打ち合わせとなりました。それを踏まえての回答は、訴訟での解決は望まないとして、加害者80%:被害者20%という過失割合を提示しました。従前、保険会社は加害者50%:被害者50%と主張していたところ、30%の譲歩が示されたことから、被害者にも納得して頂き、加害者80%:被害者20%で示談となりました。
解決のポイント
過失割合に関しては、現場見取図や事故車両の損傷写真等、客観的な証拠が非常に重要な意味を持つことを改めて感じた事案でした。
なお、人身事故の場合、実況見分調書(現場の見分状況書)が作成され、これが重要な証拠となりますが、物件事故の場合、物件事故報告書だけが作成されます。この物件事故報告書は、内容面で交通事故証明書とほとんど変わらず、交通事故の発生状況を確認するには不十分であることが多いですので、留意が必要です。
示談交渉で過失割合について話がまとまらない場合、訴訟に移行することになりますが、加害者や加害者側保険会社が紛争の長期化は望まないということも珍しくありません。そうした場合、弁護士が地道に被害者の主張を代弁することにより、加害者側が相当程度譲歩する可能性もあります。
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