長年自宅で親の介護をしたことを考慮してほしい(寄与分)
寄与分に関してよくあるご相談内容としては、次のようなものがあります。
- ・私には兄と弟がいますが、家業である農業を誰も継ごうとしないため、私が父親の営む農業を手伝い、家業を維持してきました。それなのに、他の兄弟と相続分が同じというのは納得がいきません。
- ・私の親は、亡くなる前の数年間自宅で寝たきりの状態でした。しかし姉には家族がいて親の看護ができる状態でなかったため、私がつきっきりで看護をしていました。このことは遺産分割の際に考慮して頂けないのでしょうか。
- ・親は賃貸マンションを所有していましたが、高齢のため、私が親に代わって家賃や共益費の管理、未払い賃借人への催促、明渡し請求などを行っていました。この苦労は報われてほしいです。
遺産の維持・増加に特別の貢献をしたときは、寄与分の主張を
被相続人の財産について遺産分割をする場合、民法で定める法定相続分に従って分割するのが原則です。
しかし、中には、一部の相続人が、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与(通常期待される扶養の範囲を超える貢献)をした場合、法定相続分に従って分割したのでは、かえって不公平となることもあります。
そのような場合に、特別の寄与をした相続人に対し、法定相続分以上の財産の相続を認め、相続人同士の実質的な公平を図るのが寄与分の制度です。
寄与分が認められる代表的なケースはいくつかあり、被相続人が営む家業に従事する場合(家業従事型)、被相続人に対して財産の給付や財産上の利益を給付する場合(出資型)、被相続人の療養看護を行う場合(看護型)、被相続人を継続的に扶養する場合(扶養型)、被相続人名義の財産を管理する場合(財産管理型)などがあります。
特定の相続人に寄与分が認められる場合、相続財産から当該相続人の寄与分を取り除いたものを相続財産とみなして各相続人の相続分を算定した後、当該相続人に寄与分に相当する額を加えることになります。
要するに、本来法定相続分に従って相続人間で遺産を分配しなければならないところ、寄与分が認められる場合、寄与分に相当する額は、特別の寄与をした相続人が単独で取得できるということです。
寄与分については、こちらのページ でも解説していますので、ご覧ください。
寄与分について弁護士へ依頼するメリット
- ・実務上、寄与分の要件を充たすと証明することは容易でありません。寄与分の主張が認められるためにはどのような証明資料が必要であるか等、弁護士がアドバイスいたします。
- ・遺産分割の調停や審判で寄与分を主張する場合、別途、寄与分を定める処分の調停又は審判の申立てが必要となり、その手続は専門的です。ご自身での対応に不安を感じる場合、弁護士に任せた方が安心です。
- ・寄与分の前提としての遺産の範囲の確定や遺産の評価についても、弁護士であればトータルでサポートすることが可能です。
寄与分についてお悩みの方は、当事務所へご相談ください
寄与分を求めようとする場合、そのための手続が独特で手間がかかる他、寄与分の要件を充たすことの証明は時としてかなりの労を費やすことがあります。
寄与分を求めたいがどのようにすればいいか分からないといった方は、当事務所までご相談ください。