被相続人である男性には、前妻と後妻がいたところ、前妻との間には子が2人おり、その内の1人の子につき再転相続が生じたことにより、前妻側の相続人は3名(依頼者)でした。他方、後妻との間には子がいませんでしたが、後妻には兄妹(後妻より先に他界)がおり、その兄妹に実子や養子がいたことから、代襲相続により、後妻側にも相続人が3人いる状態でした。
被相続人が前妻と離婚し、後妻と再婚した以降、相続人らは被相続人と疎遠になり、後妻側の相続人らとの関係も希薄でした。後妻の葬式の際、相続人らは後妻側の相続人と接触する機会がありましたが、良好な関係とは言い難く、被相続人の遺産についても、あまり巻き込まないでほしいという態度のようでした。
相続人らは、関係が希薄で、友好的とは言えない後妻側の相続人らとのやり取りに不安や負担を感じ、弁護士にご相談を頂きました。
ご依頼希望の相続人は3名でしたが、足並みを揃えて進めることについてご承諾を頂いたため、3名の共同代理人として、弁護士が窓口になりました。
被相続人の遺産は、生前被相続人が居住していた建物と土地でした。但し、建物については、被相続人と後妻の2分の1の共有持分名義となっていました。依頼者である相続人らの代理人として、後妻側の相続人らに対して、基本的に法定相続分に従った分割を希望するという姿勢を示した上で、どのような考えでいるか聞きたいということを伝えました。そうしたところ、後妻側の相続人らは、当該建物内にあった後妻の遺品等は整理済みであることから、後妻の共有持分を含め、土地と建物いずれも依頼者側に譲渡することで構わないと回答しました。
依頼者らに確認したところ、相手方らが提案した内容で基本的に問題なく、ただ、相続人間の共有名義とすると何かと不便な面が生じる可能性があることから、依頼者である相続人の一人の単独名義とする方針としました。合間遺品の整理や、相続人一人の単独名義とすること等をめぐって、相手方らと小競り合いが生じることもありましたが、土地・建物ともに郎族人一人の単独名義とするという方針は揺るがなかったことから、この方針で手続を進めていきました。
被相続人の登記名義については、相続人6名間で遺産分割協議書を取り交わし、遺産分割が成立しました。
また、後妻の登記名義については、遺産分割協議とは別に、相手方らとの間で、贈与契約を交わしました。こうした手続きを経た後、所有権ないしは共有持分権の移転登記手続も実行し、遺産である土地・建物について、依頼者である相続人の一人の単独名義とすることが完了しました。
相手方らに対して介入通知をしてから移転登記手続完了まで、約9ヶ月での解決となりました。
本件では、比較的早いタイミングで解決の方針が定まりました。もっとも、後妻の共有持分については、遺産分割とは別に贈与を受けなければならないなど、解決のために踏まなければならない手順が少なくなく、そのために一定程度時間がかかりました。
本件においては、依頼者らと後妻側の相続人らとの関係が希薄であり、友好的な関係ではなかったことから、依頼者は遺産分割の話題をすることにストレスを感じられておられました。そのような場合、弁護士にご依頼を頂ければ、弁護士がご本人の窓口となり、遺産分割協議や書面の取り交わしを行うことができますので、京浜蒲田法律事務所の弁護士にお任せください。