特別受益を受けた財産も遺留分の対象となる? |大田区の相続、遺産分割を弁護士に相談

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特別受益を受けた財産も遺留分の対象となる?

特別受益につき遺留分侵害額請求を検討すべき事例

結論からいって、特別受益を受けた財産も遺留分の対象となります。

 

特別受益とは、相続人が、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた場合のことです。

そして、相続人に対する贈与(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与に限る)は、相続開始前の十年間にしたものに限り、遺留分を算定するための財産の価額として算入するとされています。

つまり、特別受益の分は、遺留分を算定するための財産の価額に含まれないという例外規定はありません。

 

例えば、Aが900万円の遺産を残して亡くなり、その子供であるB、C、Dの三人兄弟が法定相続人になったとしましょう。

一方で、Bだけが生前に生計の資本として5100万円の贈与をAから受けていたとします。

この場合、相続開始の時点で、Aの遺産は900万円ですが、Bが生前に受けた5100万円は特別受益に当たります。

そのため、持ち戻しを行い、900万円+5100万円=6000万円が相続財産であると判断することになります。(民法903条)

その上で、B、C、Dの三人が法定相続分で分けると、一人当たり、2000万円ということになりますが、現実の遺産は、900万円しかありません。

このような場合は、Bの法定相続分は0円とし、900万円をC、Dが分け合って、それぞれ、450万円相続する形になります。

しかし、Bが5100万円もの生前贈与を受けているのに対して、C、Dはそれぞれ450万円しか受け取れないのでは、C、Dとしては不満でしょう。

 

そこで、C、Dは、Bに対してなされた5100万円の生前贈与を、遺留分を算定するための財産の価額に算入した上で、遺留分を主張できるのではないかと考えるわけです。

C、Dの遺留分は、法定相続分である3分の1に、遺留分の割合の2分の1をかけて、各6分の1となります。

すると、C、Dは、それぞれ6000万円×6分の1=1000万円の遺留分を主張できるため、450万円を相続した後で、更にBに対して、550万円の遺留分侵害額請求をすることができることになります。

 

ただし、すべての生前贈与が遺留分算定の対象となるわけではありません。

遺留分算定の対象となる生前贈与の範囲

生前贈与が遺留分算定の対象となるかどうかは、誰に対してなされたものか、生前贈与が相続開始の何年前になされたのかにより異なります。

 

 

・生前贈与が法定相続人以外の第三者に対してなされた場合

生前贈与は、法定相続人以外の第三者に対してなされることもあります。
例えば、慈善団体に寄付したような場合をイメージしてください。

第三者への生前贈与が遺留分算定の対象となるとすると、財産を受け取った第三者としては、いつ何時、相続人から遺留分侵害額請求を受けるか分からず、もらった財産を安心して使うことができません。

そこで、第三者への生前贈与については、原則として「相続開始前の1年間にしたもの」に限って、遺留分算定の対象とすると定められています。

・生前贈与が法定相続人に対してなされた場合

生前贈与が法定相続人に対してなされることはよくあることです。
例えば、子どもが結婚して家を建てる際に親から贈与を受けるような場合が典型的です。

このような贈与は、遺産の前渡しの意味もあるため、特別受益として、相続が開始した後、遺産分割の際に相続財産に含めて計算します(これを「持ち戻し」と言います)。

この特別受益のうち、遺留分算定の対象となるのは、「相続開始前の十年間にしたもの」に限られています。

また、「婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本」としての贈与に限られています。

上記の事例で言えば、AからBへの贈与が、Aが亡くなる10年以上前になされたものであれば、C、Dとしては、遺留分侵害額請求ができないことになります。

よって、C、Dは、900万円を分け合って、それぞれ、450万円相続するだけで我慢するしかなくなるわけです。

以上のように考えるのが原則ですが、例外もあります。

・当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしていた場合

遺言者と受遺者が、遺留分権利者に損害を加えることを承知の上で贈与した場合、「相続開始前の1年間(特別受益の場合は10年間)にしたもの」という期間制限が適用されません。

上記の例で言えば、AとBが、Bへ5100万円も生前贈与すれば、C、Dの遺留分が侵害されることを承知の上で、贈与契約を締結していた場合です。

このような場合、生前贈与が、Aが亡くなる10年以上前になされたものであっても、C、Dは、Bに対して遺留分侵害額請求ができることになります。

同じように、第三者への生前贈与の場合も、生前贈与が、被相続人が亡くなる1年以上前になされたものであっても、第三者へ遺留分侵害額請求をすることができます。

なお、「遺留分権利者に損害を加えることを知って」とは、贈与当時の財産状態で遺留分を侵害するという事実の認識だけでなく、将来財産が増加することで遺留分が充足されるという見通しがないことの予見も必要とする(大判昭和11年6月17日)と解されています。

上記の例で言えば、AとBが、Bへ5100万円を生前贈与するけど、Aの事業が軌道に乗っていて、更に財産が増える見込みがある、

その結果、C、Dの遺留分が充足されると考えていたのであれば、遺留分権利者に損害を加える意図はなかったと判断される可能性が高まることになります。

特別受益と遺留分の問題が絡む場合は弁護士にご相談ください。

特別受益分の財産について、遺留分を主張したり、主張されている場合は、権利関係が複雑になりがちです。

上記で紹介した事例は単純ですが、実際の相続実務ではこのように単純な事例はそうそうありません。

そもそも特別受益に当たるのか、遺留分を主張できるのかの判断は、専門家でも難しいものです。

よく分からないままに、他の相続人の主張を受け入れてしまうと、本来はもらえたはずの遺産が貰えなくなってしまい、損をしてしまう可能性もあります。

早めに相続問題に詳しい弁護士にご相談いただくことで、早期の解決につながりますし、相続争いのストレスからも解放されやすくなります。

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