相続人がいない場合の相続について |大田区の相続、遺産分割を弁護士に相談

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相続人がいない場合の相続について

相続が開始したのに相続人がいない状態とは?

被相続人が亡くなった時は、相続が開始し、相続人が遺産を相続するのが一般的ですが、肝心の相続人がいないケースも考えられます。
亡くなる年齢の高齢化や、生涯未婚率の上昇などにより、こうしたケースは今後増加すると考えられます。

 

なお、相続人がいないケースとは、民法で規定された法定相続人がいない場合を意味します。
子どもや兄弟姉妹などの法定相続人はいるけれども、葬儀にも顔を出さないほど疎遠になっているにすぎない場合は、法定相続人自体は存在していることになり、亡くなった方の相続手続は法定相続人が行います。
 

民法で規定されている法定相続人とは?

民法では次の人が法定相続人として規定されています。

  • 1、被相続人の配偶者
  • 2、被相続人の子(孫、曾孫を含む)
  • 3、被相続人の直系尊属(両親、祖父母)
  • 4、被相続人の兄弟姉妹(甥、姪を含む)

 

 

これらの人が一人もいない状態を相続人不存在と言います。

 

例えば、一人っ子で生涯独身の場合、ご本人が亡くなる時点で上記の相続人が一人もいないために、相続人不存在となる可能性があります。
また、結婚していても配偶者が既に亡くなっており、お二人の間に子がおらず、ご本人が長生きしたために、兄弟姉妹はもちろん、甥、姪も先に亡くなってしまっている。
というような場合も、相続人不存在となる可能性があります。
 

法定相続人がいるのに相続人不存在となる場合は?

法定相続人が残っていたとしても、相続人不存在となる場合もあります。
次のようなケースでは、相続人不存在となります。

 

・法定相続人全員が相続放棄した場合

例えば、被相続人の遺産が債務超過であることが明確な場合は、負債を相続することを避けるため、法定相続人全員が家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことがあります。
相続放棄した人は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされるため、相続人ではないことになります。
法定相続人全員が相続放棄することで、相続人不存在となります。

 

・法定相続人全員が相続人の欠格事由に該当した場合

法定相続人がいても、法定相続人全員が民法891条に規定されている相続人の欠格事由に該当したために、相続人不存在となることもあります。
相続人の欠格事由とは、例えば、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した場合等のことです。

 

・法定相続人全員が廃除されている場合

法定相続人がいても、被相続人の意思により、推定相続人の全員が廃除されていた場合は、相続人不存在となることもあります。
相続人の廃除とは、推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときに、被相続人が家庭裁判所に請求することで推定相続人の相続人資格を失わせる制度です。

 

相続人不存在の場合、被相続人の遺産はどうなるのか?

相続人不存在の場合、被相続人の遺産は、原則として国庫に帰属することになります。

この場合、被相続人と生前に取引関係があった債権者が債権を回収できなくなるのではないかと言う問題が生じます。
例えば、被相続人に対して住まいを貸していた賃貸人としては、未払いの家賃の清算などを行いたいと考えるでしょう。
こうした人たちを相続債権者と言います。

相続人不存在となった被相続人の遺産が国庫に帰属するまでは一定の猶予期間があるので、それまでの間に、相続債権者は名乗り出ることで、被相続人の遺産から債権を回収することができます。

相続人不存在となった被相続人の遺産が国庫に帰属するまでの流れは次のとおりです。

 

1、被相続人の遺産が相続財産法人となり、相続財産の清算人が選任される。

2、相続人捜索の公告と相続債権者捜索の公告が同時に出される。
この時、相続債権者は、相続債権者捜索の公告がなされてから2カ月以内に名乗り出ます。
相続債権者捜索の公告がなされてから2カ月すると、期間内に名乗り出た相続債権者に対して、相続財産の清算人から弁済がなされるので、これを受け取ることで、債権を回収することができます。

3、相続人捜索の公告から6カ月経過後、相続人不存在が正式に確定する。

4、相続人不存在が正式に確定してから、3カ月以内に特別縁故者が相続財産の分与を家庭裁判所に請求できる。

5、残余財産があれば国庫に帰属する。

 

なお、以上の手続きは被相続人の最後の住所地の家庭裁判所において行われます。
これらの手続きは、相続人不存在の場合に自動的に開始されるわけではなく、利害関係人又は検察官が相続財産清算人の選任の申立てを行うことで進められることになります。

特別縁故者とは?

民法上の法定相続人でなくても、被相続人と生前に特別親しくしていた人がいる場合もあると思います。
代表例として挙げられるのが、婚姻届は出していないものの事実上夫婦として暮らしていた内縁関係の夫婦です。
内縁の夫婦の場合、例えば、夫が亡くなったとしても、妻は法定相続人になれないため、夫の遺産を相続することはできません。

 

ただ、相続人不存在の場合は、特別縁故者として相続財産の分与を請求できる可能性があります。
特別縁故者として相続財産の分与を受けるためには、上記の相続人不存在の手続を自ら進めるとともに、相続人捜索の公告から6カ月経過後に、家庭裁判所に対して、相続財産分与の申立書を提出します。
提出すれば当然に相続財産分与を受けられるわけではなく、家庭裁判所の審判を経る必要があります。
家庭裁判所から書面で照会されたり、直接に事情を尋ねられることもあります。
なお、家庭裁判所の審判では、全遺産を特別縁故者に与えるという審判がなされるとは限りません。
遺産の一部しか認められないこともありますし、全く認められないこともあり得ます。

内縁関係にある方がパートナーに対して、遺産を残したいのであれば、次に述べる遺言書を書き残しておくのが確実です。

法定相続人のいない被相続人が遺言書を残していた場合は?

法定相続人のいない被相続人が遺産を誰かに遺贈する旨の遺言書を残していた場合は、その遺産に関しては、上記のような相続人不存在の手続は行われません。

 

例えば、内縁の夫婦の一方が他方に対して、遺産を包括遺贈する趣旨の遺言を書き残しており、その遺言が有効であれば、内縁の夫婦の一方がすべての遺産を受け取ることができます。
上記のような相続人不存在の手続を経なくて済むため、遺産も目減りしません。

 

遺贈の相手は、内縁の夫婦に限らず、法定相続人ではない親族、生前にお世話になった知人や友人などでも構いません。
また、慈善団体などへの寄付と言う形で遺贈することもできます。

 

相続人がいない場合は遺言書を書き残しましょう

相続人がいないことが生前にはっきりしている場合は、遺言書を書き残しましょう。

 

内縁の夫婦や事実上の養子などがいる場合は、その人たちが特別縁故者として相続財産の分与を受けられる可能性はありますが、そのための手続きは大変面倒ですし、費用も時間もかかってしまいます。

 

遺産を贈与したい相手がはっきりしている場合は、遺言書を書き残すことで、確実に遺贈できるようにしておくのが得策です。

 

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