タンス預金は相続対策として有効か? |大田区の相続、遺産分割を弁護士に相談

top_soudan

[まずはお気軽にお電話ください]

03-6424-8328

平日 9:00∼21:00

メールでの相談受付中随時受付

タンス預金は相続対策として有効か?

タンス預金とは、その名のとおり、現金を自宅などに保管することです。
かつては現金の保管場所と言えば、タンスだったために、タンス預金と呼ばれています。

今回は、タンス預金をすることのメリット、デメリットを取り上げます。

 

タンス預金のメリット

タンス預金は手数料がかからない
銀行のATMから現金を引き出す場合、金額や時間帯によっては結構な手数料がかかります。
無料で現金を引き出せる時間やATMも限られており、銀行のATMに行くと行列ができていて、結局、手数料がかかるコンビニのATMを利用するということもあるでしょう。
タンス預金にしておけば、タンスなどからお金を取り出すだけでよく、手数料は一切かかりません。

銀行が倒産しても払い戻しが受けられなくなる心配がない

銀行が倒産した場合は、預金者に保証されている額は1金融機関につき、1000万円に限られます。
そのため、1000万円を超える預金を預けていた場合、1000万円を超える分は、払い戻しを受けられない可能性があります。
大型の銀行破綻のケースの場合、政府が特例的に保証してくれることもあるかもしれませんが、あてにできるとは限りません。
そのようなリスクを心配するのであれば、タンス預金をしておいた方がより確実ということになります。

相続発生時の銀行口座凍結に備えることができる

銀行口座の名義人が亡くなり、相続が開始したことを銀行が知った場合は、その銀行口座は凍結されます。
相続人が勝手に現金の払戻しを受けてしまうことを防ぐためです。
もしも、その銀行口座が家族の日常生活の生活費を引き出すために利用している口座だとすれば、相続手続きが終わるまでは生活費さえ引き出せなくなります。
その上、人が亡くなった時は、入院費の清算や葬式費用など、まとまったお金が必要になることが多いですが、手元の現金が無いと困ることもあります。
そんな時、タンス預金があれば、凍結とは無縁ですから、当面の生活費やまとまったお金の支払いに備えることができます。

タンス預金のデメリット

利息がつかない

銀行に口座を作って現金を預けておけば、雀の涙ほどでも利息が発生します。
利息に対しては税金がかかりますが、税金を差し引いてもプラスになるのが一般的です。
預けている現金が多額であればあるほど、利息も多くなりますから、多額の現金をタンス預金にしていると、その分利息を受けられないことになります。

旧通貨が廃止されると無価値になってしまう

通貨切替により旧通貨が廃止されてしまうと、旧通貨のタンス預金も当然価値がなくなってしまいます。
日本の通貨であれば、日本銀行などが、あらかじめ、報道発表するでしょうし、ニュースにもなるので、情報をチェックしていれば、無効になってしまうというリスクは避けやすいでしょう。
でも、タンス預金の通貨が外国の通貨の場合は、外国からの情報を入手しにくいため、注意する必要があります。

災害や盗難のリスクがある

火災、大地震、大雨や台風による浸水などにより自宅が被害を受けるような状況になると、タンス預金も被害を受けてしまう可能性が高くなります。
燃えたり、流されてしまえば、それまでです。
また、タンス預金は盗難のリスクもあります。
空き巣に目を付けられた場合、現金を盗まれる可能性があります。
一度盗まれてしまうと、お金を取り返すことは容易でありません。
その点、預金なら、通帳やキャッシュカードを失くしてしまったとしても再発行の手続がとれますし、預けている現金が無くなるということは考えられません。

タンス預金は本人しか分からないこともある

タンス預金は、タンス預金をしている本人しか保管場所を知らないことが多いと思われます。
すると、本人が忘れてしまったり、本人が誰にも言わないままに亡くなってしまった場合、タンス預金が手つかずのままになってしまいます。

 

タンス預金は相続対策になるのか?

では、タンス預金は、相続対策として有効なのでしょうか。
まず、上記で紹介したように、銀行が、被相続人が亡くなったことを知ると、その被相続人の銀行口座を凍結してしまいます。
そのため、生活費や入院費用、葬式代などで現金をおろせなくて困ることもあります。
その様な事態に備えて、一定額のタンス預金を用意しておくことは、相続時の対策としては有効ということになります。

 

ただ、亡くなった本人しか隠し場所を知らないような形のタンス預金では意味がないので、同居している誰かには、タンス預金のありかを教えておく必要があります。

タンス預金は相続税対策になる?

タンス預金については、銀行預金や不動産と違い、家の中にある現金を税務署が把握することは難しいのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、そう甘くはありません。

 

被相続人が亡くなった場合は、市区町村役場に死亡届を提出しますが、税務署もその人が亡くなったという通知を受けて、資産がどれくらいあるかを過去の申告内容から把握します。
相続税が発生するかどうかのおおよその見当をつけるわけです。
被相続人が多額の資産を有していることが過去の申告内容から明らかなのに、相続税の申告がなされていなかったり、申告された相続税額が想定より少なかったりすると、税務署が不審に思うきっかけとなります。
すると、税務署は遺族に対して問い合わせをし、その回答に納得できない場合は、自宅や事業所等に赴いて税務調査を行います。
税務調査で未申告のタンス預金が見つかってしまうと、本来の相続税の他に様々な加算税がかかってしまう事態になり、相続税の節税どころではなくなってしまいます。
そういうわけで、相続税逃れや相続税の節税目的のタンス預金は、税務調査によって発覚する可能性が高いため、意味がないということになります。

 

タンス預金は相続争いの火種になることもある

タンス預金のありかを相続人全員が知っていることは少ないと思います。
知っているのは本人だけということもありますし、配偶者や同居している子どもだけが知っていることもあるでしょう。
すると、同居していない相続人からすれば、タンス預金がどれだけあるのか分からないため、「多額のタンス預金を隠しているのではないか。
遺産隠しではないか」という疑いを抱いてしまい、その結果、同居している相続人と同居していない相続人の間で、相続トラブルが生じてしまうこともあります。
相続税とは無縁で、タンス預金の額もわずかでしかなかったとしても、無用のトラブルを生じさせてしまうこともあるのです。

結論 多額のタンス預金は相続対策としてはおすすめできない

以上より、タンス預金にはメリットもありますが、デメリット(リスク)の方が大きいと考えられます。
したがって、相続対策として多額のタンス預金をすることはおすすめできないことになります。

相続問題の
無料相続のご予約。

まずはお気軽に
お問い合わせください