離婚時の養育費の減額請求が認められる4つのケースとその条件とは? |大田区の離婚・慰謝料請求に強い弁護士

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離婚時の養育費の減額請求が認められる4つのケースとその条件とは?

離婚時に取り決めた養育費の減額請求が可能なケースは4つあります。
それぞれの条件と、養育費減額調停・審判を有利に進めるためのポイントについて解説します。
 

養育費を減額請求できる4つのケースとそれぞれの条件を解説します

離婚時に取り決めた養育費は原則として減額することはできませんが、一定の条件が整えば、養育費の減額を求めることもできます。
養育費の減額方法としては、元配偶者との協議、話し合いのほか、家庭裁判所に養育費減額調停・審判を申し立てる方法もあります。
養育費の減額を請求できるのは4つのケースです。
それぞれの条件について解説します。
 

離婚時の養育費の決め方

離婚時に未成年の子どもがいる場合は、父母の間で養育費の負担に関する取り決めを行います。
多くのケースでは、母が子どもを引き取り、父が母に対して養育費を支払う形になります。
養育費の額については、様々な事情を考慮したうえで、当事者が話し合って決めます。
裁判所では、養育費の目安として、平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)に基づいて、「養育費の算定表」を用意しており、調停離婚の場合はもちろん、当事者が話し合うだけの協議離婚でもこの算定表に基づいて養育費を決めるのが一般的です。
一旦取り決めした養育費は、原則として、増減額を行うことはできません。
 

養育費を減額できる事情の変更とは

離婚時に決めた養育費の金額は、原則として減額することはできません。
しかし、「事情の変更」が認められる場合は、減額も可能になります。
養育費を減額できる事情の変更には、4つのパターンがあります。
それぞれ解説しましょう。
 

条件1 養育費を支払う側の収入が減った

養育費の取り決めでは様々な状況を考慮しますが、主に離婚時点での支払う側の収入を基準に決めるのが一般的です。
裁判所が用意している「養育費の算定表」でも、養育費の支払い義務者と養育費を受け取る権利者の年収を比較したうえで、子どもの数に応じて適切な養育費の金額を算定できるようにしています。
養育費の支払い義務者の年収が大幅に下落してしまったような場合は、養育費の額が減額されることになります。
 
ただ、年収が減少した理由も考慮する必要があります。
離婚時に勤めていた会社で真面目に働き続けているものの、会社の業績の悪化により給料が減ってしまった。
あるいは、やむを得ずにリストラされてしまった。
または、病気になって働くことができなくなったり、収入の低い仕事への転職を余儀なくされた。
このような事情により年収が減った場合は、やむを得ない事由によるものと言えるため、養育費の額の減額が認められやすいと言えます。
 
一方、脱サラして起業したもののうまくいかなかった。
会社を自己都合退職して転職したものの年収が減ってしまったというように、主に本人の行動の結果、年収が減ってしまった場合であれば、やむを得ない事由とは言えないため、養育費の額の減額は認められにくいと言えます。
ただ、養育費の金額は様々な状況を考慮して決めるべきものですから、現在の金額の負担が重く、到底支払うことができない場合は、弁護士に依頼して問題解決に当たってもらうことも検討しましょう。
 

条件2 養育費を支払う側が再婚して子どもができた

養育費を支払う側が再婚して新たに扶養すべき子供が増えた場合です。
養育費は、前の配偶者の子どもと今の配偶者の子どもの双方の分について、平等に負担すべきものです。
例えば、前の配偶者の子どもが1人、今の配偶者の子どもが2人。
現実的に負担できる養育費が月に9万円だとしたら、1人当たり3万円ということになります。
再婚前までは、前の配偶者の子どものために月に9万円を支払っていたとしても、他に2人の子どもができたなら減額せざるを得ないということです。
子どもができるケースとしては、再婚相手との間に実子ができる場合はもちろんですが、再婚相手の連れ子と養子縁組した場合も含まれます。
 
ただ、この状況での養育費の減額は受け取る側としては受け入れがたいことも多く、養育費減額の問題がこじれやすいと言えます。
離婚時に、まともに財産分与や慰謝料が支払われなかったうえに、養育費も減額となると、相手方は強烈な不満を抱いて、交渉さえ応じてくれないかもしれません。
この状況で養育費の減額を求めるには、弁護士に依頼して代理でこう使用してもらうことも検討すべきです。
 

条件3 養育費を受け取る側の収入が大幅に上がった

離婚時の養育費の金額は、支払う側の年収だけでなく、受け取る側の年収も考慮して決められます。
裁判所が用意している「養育費の算定表」でも、支払う側の年収よりも受け取る側の年収の方が多い場合は、受け取れる養育費の金額が少なくなるように設計されています。
 
そのため、養育費を受け取る側の収入が大幅に増えた場合は、支払う側としては養育費の減額を求めることができます。
例えば、離婚時に元妻が専業主婦で収入がないことを前提に養育費を計算していたところ、離婚後に元妻が働き始めて、パートから正社員へ昇格して、まともな年収を得られるようになったのであれば、養育費の減額を求めることができます。
一方、離婚時に元妻がパートでパートの年収を前提に養育費を算定していたところ、離婚後に正社員になった。
しかし、給料は微増したに過ぎない。
というのであれば、養育費の減額は認められにくいと言えます。
 

条件4 養育費を受け取る側が再婚し子どもが再婚相手と養子縁組した場合

子どもに対する扶養義務は、成人するまで続きます。
仮に、養育費を受け取る側が再婚した場合でもその点に変わりはありません。
ただ、子どもを扶養する義務を負う者が増えれば、その分、養育費の負担は減ります。
例えば、養育費を受け取る側が再婚したうえで、再婚相手と子どもが養子縁組した場合です。
この状況では子どもの扶養義務は、第一次的には、再婚相手と元配偶者が負うべきものになり、これまで養育費を負担していた人の扶養義務は軽減されるか、あるいは免除されます。
再婚相手が一般的な会社員などで安定した収入がある人ならば、養育費の支払いは免除されることが多いでしょう。
一方、再婚相手の収入が不安定な場合は、養育費の支払い義務が継続することもあります。
また、注意したい点は、元配偶者が再婚しただけで子どもと養子縁組をしていないのであれば、養育費の支払い義務はもちろん、金額にも変化はないということです。
 

養育費を減額する方法と流れ

離婚時に決めた養育費は、上記で紹介した条件が発生すれば、当然に減額されるわけではありません。
例えば、元妻が再婚したのを知った時に、一方的に養育費を減額すると宣言することはできません。
元配偶者との間で養育費を減額する旨の協議を行ったうえで、減額後の養育費の取り決めや養育費を免除する旨の合意に達する必要があります。
一方的に養育費を減額すると宣言してもそれだけでは、養育費の不払いと同じですから、元配偶者から減額された分の養育費の金額について、未払いになっているとして請求されたり、強制執行の申立てがなされて給与や銀行預金などを差し押さえられてしまう可能性があります。
養育費を減額する方法は主に3つあります。
 

元の配偶者と話し合う

養育費を減額できる条件が整った場合は、まず、元の配偶者との話し合いや協議を試みましょう。
話し合いにより解決できれば、家庭裁判所に調停を申し立てる必要はありませんし、円満解決を試みることができます。
また、当事者の話し合いや協議により解決を試みる場合は、必ずしも、養育費を減額できる条件がそろっている必要はありません。
例えば、脱サラしてうまくいかずに年収が減ってしまったケースでは、調停で養育費の減額を求めることは難しいこともありますが、話し合いや協議ならば、現実的に支払える養育費の金額が限られている以上、養育費の減額に応じてもらえることもあります。
 
話し合いや協議がまとまり、養育費を減額することが決まった場合は、合意内容を文書化することが大切です。
当事者同士で合意書を交わすだけでなく、できれば、養育費の減額や変更日について明確にした公正証書を作成するのが無難です。
 

家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てる

元の配偶者と間で、養育費の減額について、話し合いや協議を試みたものの、相手方が応じてくれなかったり、そもそも、話し合いや協議自体拒否された場合は、当事者同士で解決することは難しいため、裁判手続きの利用が検討されます。
利用できる手続きは、養育費(請求・増額・減額等)調停の申立てです。
申立先は、相手方が実際に居住している地域を担当する家庭裁判所になります。
 
養育費減額調停は、通常の裁判手続きと異なり、法廷で証拠を出し合って対決する流れではなく、基本的には当事者同士の話し合いにより解決を目指す流れになり、裁判所はその仲裁役となります。
具体的には、家庭裁判所の裁判官と、2名の調停委員が当事者の双方から話を聞いて、解決案を提示したり、必要な助言をし、調停成立を目指します。
そのため、必ずしも弁護士を代理人として立てる必要はなく、当事者が出席することも可能です。
 

養育費減額審判

家庭裁判所での養育費減額調停で話し合いがまとまらずに、調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続に移行します。
養育費減額審判では、家庭裁判所の裁判官がこれまでの養育費減額調停の経緯を把握したうえで、一切の事情を考慮して審判を下すことになります。
 
家庭裁判所が下した審判に不服がある場合は、審判から2週間以内に即時抗告を行うことができます。
 
即時抗告を行わなかった場合は、養育費減額審判が確定し、審判内容に従って養育費の支払いが行われることになります。
 

養育費減額調停・審判のポイント

養育費減額調停・審判の場合だけでなく、元の配偶者との話し合いや協議を試みる場合も同様ですが、養育費の減額を求める際は次の点を押さえておく必要があります。
 

  • ・裁判所の「養育費の算定表」に基づく養育費の相場
  • ・養育費の減額が認められる条件

 
養育費の減額は、支払う側が感覚的に高いだろうと感じたために請求できるものではありません。
やはり、現在支払っている養育費が「養育費の算定表」に基づく相場に見合うものであれば、減額を求めることはできませんし、養育費の減額が認められる条件が揃っていない場合も同様です。
 
こうした点を押さえずに、なんとなく高いと思うからという理由で養育費の減額を求めても、調停委員や相手方を納得させることはできません。
 

養育費の減額を求めることができないケース

次のような事情がある場合は、養育費の減額を求めたいと思うかもしれませんが、難しいことが多いです。
 

面会交流の回数が少ない(子どもに会わせてもらえない)から養育費を減額または支払拒絶したい場合

非監護親としては、養育費を負担している以上、子どもとの面会交流を行い、子どもの成長を確かめたいと思うのは当然のことです。
しかし、面会交流の回数が少なかったり、監護親が拒絶しているために、子どもと面会できないから、養育費を減額したり、養育費の支払いを拒絶したいという理由は認められません。
養育費の支払いは、面会交流の対価ではないですし、両制度の間には何の関係もないためです。
 

受け取る側が再婚又は恋人ができたから養育費を減額または支払拒絶したい場合

養育費は元配偶者に支払う形になるので、元配偶者の生活援助のようなイメージを抱かれる方も多いと思います。
そのため、元配偶者が再婚したり、経済力のある恋人ができて再婚が近いのであれば、もはや、養育費は支払わなくて良いとか、減額しても良いと考えるかもしれません。
しかし、養育費はあくまでも、子どものための費用です。
元配偶者が再婚したり恋人ができたとしても、子どもが再婚相手と養子縁組したというのでない限り、子どもを扶養する義務が依然として続きますし、養育費もこれまでどおり支払う必要があります。
子どもが養子縁組したかどうかは、戸籍を確認しなければわかりませんが、自分で調べることが難しい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
 

離婚時に取り決めた養育費が相場より高額だったために養育費の減額を求めたい場合

離婚時に養育費の取り決めを行ったものの養育費の相場を確認しなかったために、高額な養育費を負担してしまっている場合です。
このような場合は、養育費の相場を知ったときに、減額を求めたいと思うかもしれません。
しかし、一旦決めた養育費は相場よりも高いという理由だけで減額できるものではありません。
当事者の話し合いや協議ならば、養育費を相場の額まで下げる交渉も不可能ではありませんが、調停や審判の場合はそのような理由での減額請求は、よほどの事情がない限り、受け入れられないのが一般的です。
 

養育費の減額請求は弁護士に相談しよう

養育費の減額請求に関してお悩みの場合は、弁護士にご相談ください。
養育費を減額できる条件に当てはまっているとして、受け取る側に減額を求めたとしても、すんなり応じてくれない事が多いものです。
養育費の減額を求めたことがきっかけで、離婚時に財産分与をまともに受けていないとか、慰謝料の支払いを受けていないといった問題をぶり返してしまうこともあります。
最初から弁護士が出ていき、養育費を減額できる条件を示したうえで交渉すれば、減額に応じざるを得ないものとして納得してもらいやすいですし、取り決めを守らせるために、公正証書を作成すると言った手続も行うことができます。
また、養育費減額調停になった場合でも、調停の場に同席したり代理出席して、やむを得ない事情の変更がある旨を客観的な資料を元に調停委員に印象付けることができます。
 
養育費の減額交渉に長い時間をかけてしまうと、結局、相場よりも高い養育費を負担し続けることになりかねません。
早めに弁護士にご相談いただくことで、養育費の負担を早期に軽減することができます。

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