依頼者(男性)は、数年間交際した女性と婚姻の約束をしていましたが、入籍直前で、当該女性が別の男性と肉体関係を持っていることが発覚しました。依頼者は激しく動揺し、婚姻を破談にするか悩みましたが、当該女性は不貞の事実を素直に認め、謝罪したことから、当該女性とは予定どおり婚姻しました。
しかし、浮気相手である当該男性については、依頼者の存在を知りながら不貞の関係を続けていたことから、許すことはできないということで、弁護士にご相談を頂きました。
依頼者である男性が交際相手の女性との入籍前に、当該女性が別の男性と肉体関係を持っていたことが判明したため、当該男性に対して損害賠償請求を請求したところ、50万円の損害賠償を受ける内容で示談したケース
ご相談の概要
解決に向けた活動
交際相手の女性と当該男性が肉体関係を持ったのは、依頼者と当該女性が婚姻する前の時点であったことから、依頼者と当該女性は婚約関係にあったと法律構成し、婚約相手である依頼者の存在を認識しながら不貞に及び、精神的苦痛を与えたと主張し、慰謝料を請求しました。
これに対し、当該男性も弁護士を依頼し、婚約の成否や、婚約相手である依頼者の存在を認識していたか否かについて、争ってきました。そのような反論がなされた後の結論として、慰謝料等の支払いには一切応じることができないとの回答であったことから、示談成立は困難と思われました。
ただ、当方にてすぐに訴訟提起ということはせず、依頼者と当該女性との間で婚約関係が成立していること等について、具体的な事情に踏み込んで再反論しつつ、示談での解決となるならば、慰謝料の額について調整の余地があることも示しました。これに対し、当該男性は、婚約が成立していたとは言えない等の基本的な態度は崩しませんでした。もっとも、早期解決のため、解決金10数万円の支払いは可能という態度に転じました。これを踏まえ、さらに個別的な事情を指摘しながら、金額上乗せの折衝を続けた結果、示談段階での上限として50万円を支払うとの回答が示されました。当該金額にて依頼者にも納得して頂けたため、示談書を取り交わし、示談成立となりました。
慰謝料請求の通知をしてから示談成立まで、約4ヶ月での解決となりました。
解決のポイント
初回の当該男性の回答は、慰謝料の支払いを一切否認するものであったため、早々に交渉決裂かと思いました。しかし、悩みながらも結果的に依頼者が当該女性と婚姻した事実が存在することなどから、すぐさま訴訟に踏み切ることはせず、交渉で粘る方針としました。結果的に、徐々に当該男性の回答に変化が生じ、示談成立にこぎつけました。
法律上の婚姻関係と異なり、婚約関係や内縁関係については、戸籍の届出といった公的な証明手段がありません。そのため、婚約指輪の交換、親族や友人への挨拶、生活費の分担・協力、継続的な同居生活等の要素を踏まえた上での法的な評価となります。時に、婚約や内縁関係が成立していると言えるか判断が難しいケースもありますので、婚約や内縁関係でお悩みの方は、京浜蒲田法律事務所の弁護士にご相談ください。
その他の解決事例
有責配偶者である夫から妻に対して協議離婚を要請し、相当程度の経済的補償をする内容で、協議離婚が成立したケース
不貞慰謝料別居財産分与離婚離婚時年金分割養育費依頼者(夫・40代・会社員)と妻は、婚姻期間10年を超える夫婦であり、子供が2人いました(長女及び二女、いずれも小学生)。依頼者は、妻との婚姻生活において、妻から心無い発言を受ける他、家事でちょっとした失敗をした際に妻から嫌味を言われたり、嫌がらせをされたこと等が積み重なり、妻を一緒に生活することが苦しくなっていきました。仕事の都合で、依頼者のみ単身赴任することになりましたが、その単身赴任先で、依頼者は別の女性と不貞の関係となり、後々妻もこのことを知ることとなりました。
妻と一緒にいることはできないという思いが変わらなかったため、依頼者は妻に対して離婚を切り出しましたが、取り合ってもらえませんでした。そこで、何とか離婚したいということで、ご依頼を頂きました。
婚姻40年超えの夫婦が、離婚協議が進展しないまま長期の別居状態続いている場合において、妻の代理人として弁護士介入した後、協議が進展し、協議離婚が成立したケース
財産分与離婚離婚時年金分割依頼者(妻・60代・専業主婦)と夫(70代)は、婚姻期間40年を超える夫婦であり、子供(長女)が1人いました。長きにわたる婚姻期間において、夫の自己中心的な性格、依頼者や長女に対する無関心さ等を理由として、夫婦間での愛情・信頼関係が喪失しました。その結果、依頼者が単身で家を出る形で別居し、夫婦別居の状態が10年以上続きました。依頼者は、一貫して離婚を求めていましたが、夫はまともに取り合ってくれなかったことから、離婚協議は進展しませんでした。
そこで、弁護士が介入することで、停滞している離婚協議を進めたいというご希望を頂き、ご依頼となりました。
子供が生まれたことをきっかけとして妻が実家に依存するようになり、別居となった事案において、夫から離婚調停を申し立て、将来における減収や妻の潜在的稼働能力を踏まえて養育費が算定されたケース
別居親権財産分与離婚面会交流養育費依頼者(夫・30代・会社員[調理師])と妻は、婚姻歴5年弱の夫婦であり、子供が1人(長男2歳)いました。依頼者と妻は2人で夫婦生活を送っていましたが、同じ県内に妻の実家があり、比較的帰省は容易な状況でした。妻が子供を妊娠し、出産することになって以降、妻は頻繁に実家に帰り、妻の両親の援助を受けるようになりました。依頼者は、仕事の都合で県外に行くこともあり、妻の実家に援助を求めることもしょうがないと感じていましたが、次第に、実家依存症ではないかと思う程、妻は実家にいるようになりました。そして、ある時、妻から依頼者に対し、依頼者と住んでいた家には戻りたくない、このまま実家で生活すると告げられ、実家帰省のはずが、そのまま別居となりました。
依頼者は妻に対し、何度も、子供と一緒に戻ってきてほしいとお願いをしましたが、実家にいる方が安心だから等の理由で応じてもらえませんでした。依頼者はあくまでも関係修復(円満)を求めていましたが、妻の気持ちが変わる気配が全くなかったことから、この状態では婚姻関係を続ける意味がないとして、ご相談を頂きました。
妻(依頼者)が財産分与として約2800万円の給付を受ける内容で和解離婚が成立したケース
別居親権財産分与離婚時年金分割養育費依頼者(40代妻)と夫は、婚姻歴10年以上の夫婦です。依頼者に連れ子が2人いたところ、婚姻に伴い、連れ子と夫は養子縁組をしました。また、依頼者と夫の間に子供が1人いました。依頼者は、夫の子らに対する暴力や嫌がらせ、威圧的な態度といったモラルハラスメントにより、夫に対して恐怖心を抱くようになり、夫を前にすると体の震えが起きるような状態となったことから、依頼者が家を出る形で別居しました。
別居後間もない頃に、依頼者自身で離婚調停を申し立てましたが、夫が離婚に応じなかったため、不成立となりました。
別居後数年が経過し、依頼者の「離婚したい」という気持ちは変わることはなく、今度こそ離婚したいということでご相談を頂きました。
婚約関係にあった男性より、婚約を不当破棄したとして、慰謝料等で600万円近くの支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起された事案において、婚約破棄に不当性はないこと等の反論を尽くした結果、第一審及び控訴審において、いずれも男性の請求が棄却されたケース
婚約破棄男女問題依頼者(女性・30代)と相手方の男性(40代)は、SNS上のお見合いサイトで知り合い、数年にわたって交際関係にありました。当事者双方に婚姻歴があり、お互いに子供もいたことから、同居はしていませんでしたが、当該男性は依頼者に対し、プレゼントを贈った上で婚姻の申込み(プロポーズ)をしていました。また、二人の間には、子供を含めて一緒に生活するための不動産(マイホーム)を購入する話が持ち上がり、実際に二人で売買契約の場に同席することもありました。しかし、不動産の購入や子供との関係等を巡って二人の間に喧嘩が生じ、また認識の違いが生じたことにより、購入した不動産で同居生活が実現されることはなく、二人の関係が修復されないまま、連絡は途絶えました。
そうしたところ、当該男性より、依頼者が一方的に同居を拒否し、かつ連絡を一切無視する態度に出たことによって、不当に婚約破棄されたとして、慰謝料やその他の財産的損害として、600万円近くの支払いを求める損害賠償請求訴訟が提起されました。依頼者は対応に困り、ご依頼を頂きました。