養育費不払いに対する対応(民事執行法上の財産開示手続) |大田区の離婚・慰謝料請求に強い弁護士

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養育費不払いに対する対応(民事執行法上の財産開示手続)

1 はじめに

前回のコラム(強制執行)はこちらです。

 

今回は、強制執行に関連して、民事執行法上の財産開示手続についてお話しします。

 

2 財産開示手続(改正民事執行法196条以下)

財産開示手続とは、権利者の申立てによって、裁判所が養育費の義務者を財産開示期日に呼び出し、裁判所や権利者の前で、所有する財産を開示させる手続です。

 

権利者が申立てをするためには、養育費の支払いを約束した調停調書等(債務名義)が必要になります。法改正により、公正証書や仮執行宣言付き支払督促でも申立てができるようになりました。

 

申立てを受けた裁判所が財産開示手続を実施することにした場合、その旨の決定をし、財産開示手期日を指定し、その期日に義務者を呼び出します。

 

義務者が財産開示期日に出頭するかどうかは任意ですが、後述のとおり、正当な理由なく出頭しない場合は、刑事罰に処せられることがあります。

 

財産開示期日に義務者が出頭した場合、義務者の財産開示に対し、裁判所が質問できる他、権利者も裁判所の許可を得て質問をすることができます。

 

この財産開示手続きは平成15年に創設された制度ですが、そもそも期日に出頭するかどうかは義務者次第であり、不出頭等に対する制裁も弱かったことから、その実効性が疑問視され、利用実績も低調でした。

 

改正前、義務者が正当な理由なく財産開示期日に出頭しなかったり、期日で虚偽の陳述等をした場合、30万円以下の過料に処するとされていました。

これに対し、民事執行法の改正によって不出頭等の場合の制裁が強化され、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑事罰が課されることになりました。前科がつくということであり、これにより、財産開示手続の実効性が向上することを期待したいところです。

 

3 さいごに

民事執行法の改正により、登記所、市区町村・日本年金機構、金融機関等の義務者以外の第三者から、義務者の財産に関する情報を取得できる制度(第三者からの情報取得手続)が創設されました。もっとも、登記所(不動産情報)と市区町村・日本年金機構(勤務先情報)については、事前に財産開示手続を踏むことが必要とされています。その点でも、強制執行における財産開示手続は重要な手続です。

 

義務者が財産開示期日に出頭しない場合や、期日で必要事項を陳述しない場合、虚偽の陳述をした場合は、新たに創設された第三者からの情報取得手続の利用を考えることになるわけですが、これについては別の機会にお話しします。

 

 

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