初回相談無料

[まずはお気軽にご電話ください]

 03-6424-8328

平日:9:00〜21:00

メールでの相談予約随時受付

養育費不払いに対する対応(民事執行法上の財産開示手続)

1 はじめに

前回のコラム(強制執行)はこちらです。

 

今回は、強制執行に関連して、民事執行法上の財産開示手続についてお話しします。

 

2 財産開示手続(改正民事執行法196条以下)

財産開示手続とは、権利者の申立てによって、裁判所が養育費の義務者を財産開示期日に呼び出し、裁判所や権利者の前で、所有する財産を開示させる手続です。

 

権利者が申立てをするためには、養育費の支払いを約束した調停調書等(債務名義)が必要になります。法改正により、公正証書や仮執行宣言付き支払督促でも申立てができるようになりました。

 

申立てを受けた裁判所が財産開示手続を実施することにした場合、その旨の決定をし、財産開示手期日を指定し、その期日に義務者を呼び出します。

 

義務者が財産開示期日に出頭するかどうかは任意ですが、後述のとおり、正当な理由なく出頭しない場合は、刑事罰に処せられることがあります。

 

財産開示期日に義務者が出頭した場合、義務者の財産開示に対し、裁判所が質問できる他、権利者も裁判所の許可を得て質問をすることができます。

 

この財産開示手続きは平成15年に創設された制度ですが、そもそも期日に出頭するかどうかは義務者次第であり、不出頭等に対する制裁も弱かったことから、その実効性が疑問視され、利用実績も低調でした。

 

改正前、義務者が正当な理由なく財産開示期日に出頭しなかったり、期日で虚偽の陳述等をした場合、30万円以下の過料に処するとされていました。

これに対し、民事執行法の改正によって不出頭等の場合の制裁が強化され、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑事罰が課されることになりました。前科がつくということであり、これにより、財産開示手続の実効性が向上することを期待したいところです。

 

3 さいごに

民事執行法の改正により、登記所、市区町村・日本年金機構、金融機関等の義務者以外の第三者から、義務者の財産に関する情報を取得できる制度(第三者からの情報取得手続)が創設されました。もっとも、登記所(不動産情報)と市区町村・日本年金機構(勤務先情報)については、事前に財産開示手続を踏むことが必要とされています。その点でも、強制執行における財産開示手続は重要な手続です。

 

義務者が財産開示期日に出頭しない場合や、期日で必要事項を陳述しない場合、虚偽の陳述をした場合は、新たに創設された第三者からの情報取得手続の利用を考えることになるわけですが、これについては別の機会にお話しします。

 

 

その他のコラム

2022年(令和4年)年末年始休業のお知らせ

誠に勝手ながら、当事務所は、令和4年12月28日(水)から令和5年1月3日(火)まで年末年始休業となります。   期間中は大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解賜ります様、お願い申し上げます。   なお、メールでのお問い合わせは随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。  ...

モラハラで慰謝料を請求するには証拠が必要? 有効な集め方や弁護士への相談方法

モラハラを理由に離婚したり慰謝料を請求するには証拠を集める必要があります。モラハラは精神的に追い詰める行為で暴力を伴わないため身体的な傷が残りませんし、家庭内の密室で行われるため、証拠が残りにくいのが問題ですが、有効な証拠を用意することも可能です。モラハラの証拠の集め方や弁護士に相談すべきタイミングについて解説します。   モラハラで離婚したり慰謝料を請求するには証拠が必要? 有効な集め方や具体的な証拠の例を解説...

離婚後に親権を取り戻せるのか?親権者の変更が可能なケースについて解説します。

未成年者の子どもがいる場合は、離婚時に親権者を決めて離婚届にも反映させますが、離婚後に親権を取り戻すことも可能です。 ただ、親権の変更は家庭裁判所での調停又は審判が必要で、「親権者を変更すべき事情」がないと認められません。 親権者を変更できるケースやポイント、手続きの流れについて解説します。   離婚時の親権の決め方 2024年(令和6年)の時点では、離婚時の親権は、夫婦の一方に決めなければなりません。 ...

養育費支払いの終期(成年年齢引下げとの関係3)

1 はじめに 前回のコラムに引き続き、成人年齢の引下げによる養育費の終期に関する論点について考えます。   2 民法改正による成人年齢の引下げ後の養育費の支払義務の終期についてどのように考えるべきか? 以前のコラム にあるとおり、養育費支払いの終期は、「子どもが未成熟子から脱した時点」であり、原則として20歳に達した日(の属する月)までと考えられていました。その背景には、子が満20歳に達するまでは未成熟子...

離婚後の共同親権とは何か?導入のメリット・デメリットについて解説

2024年(令和6年)の民法改正により、日本でも離婚した後の共同親権制度が導入されました。 従来は離婚後、父と母のどちらか一方の単独親権でしたが、共同親権とした場合は父母の双方が子どもの教育などに関与することになります。 共同親権とすることにより様々なメリットが生じる一方で新たな問題点やデメリットも生じます。 離婚後に共同親権を選択した場合のメリット・デメリット、親権行使時の留意点等について解説します。   ...

離婚・男女問題無料相談ご予約。
まずはお気軽にお問合せください

初回相談無料  03-6424-8328

平日:9:00〜21:00

お問い合わせ