離婚の基本的な手続きと必要な書類について |大田区の離婚・慰謝料請求に強い弁護士

京浜蒲田法律事務所
初回相談無料

[まずはお気軽にご電話ください]

 03-6424-8328

平日:9:00〜21:00

メールでの相談予約随時受付

離婚の基本的な手続きと必要な書類について

離婚の基本的な形は協議離婚といい、夫婦で話し合って離婚届を提出することがこれに当たります。
ただ、調停離婚や裁判離婚の形で離婚した場合でも、離婚届の提出は必要ですし、離婚届の提出と同時に、または、前後して行うべき手続きに大きな違いはありません。
この記事では、離婚の基本的な手続きと必要な書類を確認します。
 

1.離婚届の入手方法

離婚の手続きというと離婚届を出すだけと考えている方も多いと思います。
では、離婚届に具体的に何を書けばいいのか、離婚届の実物を見たことがある方や実際に書いたことがある方は少ないと思います。
 
まず、離婚届は、市区町村の役場の窓口でもらえるので、問い合わせれば、入手することができます。
また、インターネット上で配布している自治体もあるので、ダウンロードすることもできます。
いずれの方法で入手するにしても、自治体により特別な記述をする個所はなく、全国統一の書式になっています。
そのため、届出をする自治体で入手した離婚届だけでなく、ほかの自治体で入手した離婚届でも利用できます。
 
参考サイト
https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-3.html
 

2.離婚届の書き方

離婚の方法は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚が主な方法になります。
いずれの方法で離婚するにしても、離婚届は提出しなければなりません。
調停離婚や裁判離婚は、裁判所が関与する離婚方法ですが、調停、審判、判決が出れば、役所での離婚の手続きをしなくてよいわけではなく、調停調書や判決謄本と一緒に市区町村役場の窓口に離婚届を提出しなければならないことを押さえておきましょう。
 

2.1協議離婚の離婚届の書き方

協議離婚とは夫婦が話し合いにより離婚する方法です。
大半の離婚は協議離婚により成立しています。
協議離婚による離婚届の書き方のポイントを紹介します。
 

1. 届出の日付

協議離婚では、離婚届を提出した日が、離婚の成立日になります。
 

2. 住所と本籍

住所は、現在の住民登録をしている住所を書きます。
離婚前に別居している場合は夫婦で別の住所になることもあります。
本籍は、現在のもの、つまり、婚姻している状態のものを記載します。
 

3. 父母の氏名

実父母の氏名を記載します。
実父母がすでに亡くなっている場合でも記載が必要ですし、離婚後に氏が変わらない方も記入が必要です。
 

4. 婚姻前の氏にもどる者の本籍

婚姻した際に氏を変えた側は、離婚後の氏と戸籍をどうするか、次の3つから選択できます。
 

  • ・婚姻前の氏を名乗り、婚姻前の戸籍に戻る
  • ・婚姻前の氏を名乗り、自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る
  • ・婚姻中の氏を名乗り、自分の筆頭者とする新しい戸籍を作る

 
氏は婚姻前の氏に戻るか、今の氏(婚姻中の氏)を名乗り続けるか選択できます。
今の氏(婚姻中の氏)を名乗り続ける場合は、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条2項の届)」を提出します。
提出期限は、離婚の日から3か月以内ですが、通常は、離婚届と同時に提出します。
 
戸籍は、婚姻前の戸籍に戻るか自分の筆頭者とする新しい戸籍を作るかのいずれかです。
婚姻前の戸籍に戻るには、戸籍が除籍されていないことが条件です。
両親が共に亡くなっていて、兄弟姉妹が全員婚姻した場合は、戸籍は除籍されるため、婚姻前の戸籍に戻ることはできません。
 

5. 未成年の子の氏名

夫婦の間に未成年の子がいる場合に記入します。
ここに記載する未成年の子の氏は、夫婦の婚姻中の氏になることに注意しましょう。
例えば、妻が離婚の際に旧姓に戻り、未成年の子の氏も旧姓にしたい場合は、別途、家庭裁判所で子の氏の変更許可を受けなければなりません。
 

6. 証人

協議離婚の場合は、必ず、成人の証人に署名してもらわなければなりません。
証人は、離婚届をする夫婦に離婚意思があることを証明する人たちという意味です。
証人欄が空欄だと、離婚届は受理されないため、注意が必要です。
頼める人がいない場合は、弁護士に相談して署名してもらうこともできます。
 

2.2調停離婚、裁判離婚の離婚届の書き方

離婚届の書き方自体は、協議離婚と同じです。
ここでは、協議離婚との違いのみ紹介します。
 

1. 届出の日付

協議離婚以外の離婚では、届出の日付は、届出した日という意味に過ぎず、離婚成立日ではありません。
 

2. 離婚の種別

離婚の種別欄には、調停、審判、和解、請求の認諾、判決のいずれかのチェック欄にチェックを入れて、それぞれの日付を記載します。
この日付が離婚成立の日になります。
 

3. 証人

協議離婚以外の離婚では、証人の署名は必要ありません。
裁判所で離婚意思を確認しているためです。
 

3.離婚届の際に必要なもの

離婚届を提出する際は、離婚届の書面以外にも用意しなければならないものがあります。
 

3.1協議離婚で必要なもの

基本的に必要な書類は次の2点です。
 

  • ・住民票(日本国籍の人が外国籍の人と離婚する場合のみ必要)
  • ・身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)

 
なお、令和6年3月1日からは、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を用意しなくてよくなりました。
市区町村の職員が本籍地の戸籍を確認できるためです。
 

3.2調停離婚・裁判離婚で必要な書類

調停離婚・裁判離婚の場合は、上記2点とは別に次のいずれかの書面が必要になります。
 

  • ・調停離婚、和解離婚、認諾離婚の各調書の謄本
  • ・審判離婚の場合、審判書の謄本および確定証明書
  • ・判決離婚の場合、判決書の謄本および確定証明書

 
参考
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/koseki_j/koseki/todoke/saibanrikon.html
 

4.子どもの氏の変更

両親が離婚しても子どもの戸籍に変化はありません。
多くの場合、子どもは父親の戸籍に残ったままとなり、父親の氏を名乗り続けます。
旧姓に戻る母親と同じ氏を称させたい場合や、母親の戸籍に入れたい場合は、家庭裁判所に子の氏の変更許可を申し立てます。
 
子の氏の変更許可に際しては、子の戸籍謄本(全部事項証明書)と父、母の戸籍謄本(全部事項証明書)を添付して、家庭裁判所に申立書を提出します。
通常は書類審査だけで許可が出るので、家庭裁判所からもらった審判書謄本と共に子の本籍地又は届出人の住所地の役場で入籍の届出を行います。
これにより、子どもが母親と同じ氏を称し、同じ戸籍に入ることができます。
 

5.児童扶養手当の申請

離婚に際して、未成年の子がいる場合は国から児童扶養手当を受けることができます。
ただ、児童扶養手当には、所得制限が設けられていて、一定以上の所得がある場合は、児童扶養手当の全部または一部が支給されません。
この所得には、養育費の8割を加算して計算することになっています。
具体的な所得制限の額は、市区町村役場で確認する必要があります。
いずれにしても、児童扶養手当は離婚と同時に自動的に支給されるものではないため、市区町村役場で手続きが必要です。
 
また、自治体によっては、児童扶養手当以外にも独自にひとり親家庭への手当を支給していることがあります。
例えば、大田区では、児童育成手当、ひとり親家庭医療費助成といった制度が用意されています。
お住まいの自治体のホームページなどで確認し、受け取れる手当てがある場合は忘れずに手続きを済ませましょう。
 
参考
https://www.city.ota.tokyo.jp/faq/bunya/kosodate/hitori-oya.html
 

6.離婚届以外に必要な変更手続き

離婚によりこれまでの生活環境が変わるため、様々な変更届が必要になります。
主に必要になる変更手続きを紹介します。
 

6.1住民票の異動

離婚の際に住所が変わる人は、住所変更の手続きが必要になります。
同一の市区町村内で引っ越す場合でも、転居届を提出します。
別の市区町村へ引っ越す場合は、引っ越し前の自治体に転出届を提出して、転出証明書をもらい、引っ越し後の自治体に転入届と共に提出します。
なお、マイナンバーカードがある場合は、マイナポータルから、転出届と転入予約を行うことができます。
これにより、引っ越し前の自治体には出向く必要がなく、引っ越し先の自治体でのみ転入届を出すだけでよいことになります。
 

6.2健康保険の手続き

配偶者の扶養に入っていた場合は離婚によって健康保険の加入資格を失うため、国民健康保険への加入が必要になります。
配偶者の職場から発行される「健康保険等資格喪失証明書」をもらって、市区町村の窓口で手続きを行います。
婚姻中も国民健康保険だった場合でも、氏名変更等の手続きが必要になります。
 

6.3国民年金の手続き

配偶者の被扶養者として厚生年金に加入していた場合は、離婚に伴い、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への変更手続きが必要になります。
 
また、離婚に伴い、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫婦で分割する「年金分割請求」も忘れてはなりません。
平成20年4月1日以後に国民年金の第3号被保険者期間がある場合、「3号分割」といい、夫婦の取り決めがなくても年金事務所で手続きするだけで年金分割できます。
それ以外の場合は、夫婦の間で、年金分割の割合について話し合ったうえで「合意分割」をする形になります。
いずれの年金分割制度を利用するにしても請求期限は、原則として、離婚成立日の翌日から起算して2年以内です。
 

6.4そのほかに必要な変更手続き

上記以外にも次のような変更手続きが必要になります。
 

  • ・運転免許証の記載事項変更
  • ・パスポートの記載事項変更
  • ・電気、ガス、水道などの名義変更手続き
  • ・金融機関での口座名義変更手続き

 
このように様々な機関で変更手続きが必要になりますが、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう。
その結果、様々な通知が旧住所に届いてしまうこともあります。
そのような事態を防ぐためには、郵便局に転居届を提出しておくことで、1年間に限り、旧住所に届く郵便物等を新住所に転送してもらうことができます。
旧住所宛で届いた場合は、変更手続きをしていないことに気づくことができるので、その都度手続きを行うとよいでしょう。
 
参考
https://www.post.japanpost.jp/service/tenkyo/
 

7.まとめ 離婚に必要な手続きは離婚届だけではない

離婚の手続きというと、離婚届を出して終わりというイメージを持つ方も多いと思いますが、離婚届を記載する際にも決めなければならない事項がありますし、離婚届以外にも様々な手続きが必要になります。
漏れのない手続きを行うためにも、この記事を参考にしてください。
また、離婚手続きに関して分からないことがあれば、当事務所にお問い合わせいただければ、お答えいたします。

その他のコラム

婚姻費用・養育費算定表で子の年齢区分を2区分としているのはなぜ?

1 はじめに 家庭裁判所では、婚姻費用及び養育費を算定するに当たり、いわゆる算定表が利用されています。 算定表は、夫婦双方の収入状況、子の有無・数・年齢などを参考にして、簡易迅速に婚姻費用及び養育費を算定できるよう提案されたものです。なお、この算定表は、提案から15年以上経過した令和元年12月、家庭の収入や支出の実態等の変化に対応するため、改定されました(これを「改定標準算定方式・算定表」といいます。)。 &nb...

財産分与における「基準時」とは?

1 はじめに 財産分与という言葉にはいくつか種類がありますが(清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与)、最もポピュラーなのは清算的財産分与です。 清算的財産分与とは、離婚時又は離婚後に、婚姻中に夫婦が共同して築いた財産について、夫婦間で分配し、清算する制度です。   2 財産分与における2つの基準時 財産分与においては、「基準時」という問題があります。   具体的に言...

離婚届の様式見直し -養育費に関する取決めの公正証書化の確認へ-

1 様式見直しの概要 令和3年4月16日、法務大臣は、離婚届の様式を近く見直し、子どもの養育費に関する取決めを公正証書にしたかどうかを確認するチェック欄を追加することを明らかにしました。   これまでの離婚届にも、面会交流及び養育費に関する取決めの有無についてのチェック欄は設けられていました。すなわち、「養育費の分担について取決めをしている」か、「まだ決めていない」のどちらかにチェックをつけるというもの...

財産分与で控訴するかは慎重に(財産分与における不利益変更禁止の原則の不適用)

1 不利益変更禁止の原則とは? 民事訴訟法304条は、第二審(控訴審)における判決について、「第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、することができる」と規定しています。   民事訴訟では、当事者が申し立てていない事項について判断をすることはできないとされています(民事訴訟法246条。これを処分権主義といいます。)。 この原則に基づき、第二審(控訴審)において審理・判断の対象と...

夏季休業のお知らせ

誠に勝手ながら、当事務所は、令和4年8月10日(水)から8月16日(火)まで夏季休業となります。     期間中は大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解賜ります様、お願い申し上げます。     なお、メールによるお問い合わせは随時承っております。詳しくはお問い合わせのページをご確認ください。    ...

離婚・男女問題無料相談ご予約。
まずはお気軽にお問合せください

初回相談無料  03-6424-8328

平日:9:00〜21:00

お問い合わせ