依頼者(夫・30代・公務員)は、仕事柄転勤が多く、妻との婚姻後も、単身赴任する状況が続いていました。妻は実家で生活していたところ、夫婦間では、婚姻後、同居に向けた話題が出ていましたが、同居を開始する時期等について、夫婦間で認識のズレが生じ、対立が生じていました。めでたく夫婦間で子供を授かりましたが、妻は実家で生活していたことから、里帰り出産のような状態となりました。この出産をきっかけとして、妻は実家で引き続き生活することを強く希望し、子供を含む家族3人での同居生活を望む依頼者との対立が深くなりました。
次第に、妻と音信不通気味となったことから、依頼者だけでの対応に限界を感じ、ご相談を頂きました。
生後間もない子供がいる状況において、別居婚状態の夫婦が同居生活を巡って対立が生じ、婚姻関係の継続が困難となり、弁護士代理で協議離婚が成立したケース
ご相談の概要
解決に向けた活動
受任時、妻において婚姻関係を継続する意思があるのか、また、妻の実家を離れて同居する意思があるのか、必ずしも妻の意向がはっきりとしなかったことから、弁護士介入の通知をする際に、これらの点を尋ねました。そうしたところ、妻にも弁護士が就き、実家から離れる意向はなく、依頼者が求めるならば、離婚することもやむを得ないという意向でした。
依頼者自身、離婚することには迷いもありましたが、婚姻生活のあり方に関する見解の相違が大きく、従前のような別居婚の状態で婚姻関係を継続していくことは難しいと感じ、離婚条件についての協議を進めることにしました。
当初、依頼者は、生まれて間もない子供の親権を主張しましたが、案の定、妻も親権を強く主張しました。子供が生まれて以降、一貫して妻の実家で妻の監護養育下にあることから、依頼者が子供の親権を獲得することは客観的に見て困難な状況でした。そこで、親権者は妻であることを前提としつつ、養育費について、婚姻生活に関する依頼者の切実な思いを訴えながら、依頼者の要望を伝えました。そうしたところ、養育費に関しては、妻が依頼者の主張を受け入れたため、離婚条件が整いました。最終的に、弁護士同士で離婚協議書の内容を整え、協議離婚成立となりました。
弁護士介入の通知をしてから協議離婚成立まで、約4ヶ月での解決となりました。
解決のポイント
養育費に関して、妻よりも依頼者の収入の方が多かったことから、家庭裁判所が採用している養育費算定表によれば、依頼者から妻に対して、相当額の支払いをする必要がありました。特別の事情がある場合、算定表から導かれる養育費の金額よりも多少増減することはありますが、基本的に増減の幅は1~2万円であることが多いと考えられています。
もっとも、本件では、依頼者の切実な思いを相手方に伝えたことにより、1~2万円を大幅に超える範囲で合意となりました。養育費の点について当事者間で合意となったことが、離婚調停に至ることなく協議離婚で解決できたことの大きな要因になったと言えます。
協議離婚の本質は合意であるため、時として、複数ある離婚条件について優先順位を決めた上で、相手方との交渉において妥結点を探っていくことが必要となります。どのような条件でもって妥結点とすべきか判断するのが難しい場合、ぜひ京浜蒲田法律事務所の弁護士にご相談ください。
その他の解決事例
生後数か月の子供がいる状態で別居となり、妻から夫に対して離婚請求をしたところ、夫は離婚拒否、離婚するなら親権を取りたいと主張していたところ、弁護士による代理協議の結果、妻を親権者とする内容で協議離婚が成立したケース
別居親権離婚養育費依頼者(妻・30代・専業主婦)と夫は、婚姻期間1年未満の夫婦であり、婚姻して数か月後に子供(男の子)が生まれました。しかし、子育ての分担に関して夫婦間で見解の相違が生じたことや、喧嘩となった際、夫が依頼者を罵るような言動に及んだこと、夫の実家で同居生活をするのか否かで見解が対立したなどの理由により、夫婦仲が険悪となり、依頼者が子供を連れて依頼者の実家に帰る形で別居となりました。
別居後、夫は、戻ってきてほしい、離婚したくないということを訴えていました。しかし、依頼者は、離婚の意思が固く、離婚に向けて進めていきたいということで、ご相談を頂きました。
妻から財産分与として3000万円を超える退職金の2分の1相当額を請求されたのに対し、 子どもの教育費のための借入れ分は退職金から控除すべきであるなどと主張し、この主張が受け容れられる形で調停離婚が成立したケース
別居年金分割親権財産分与離婚養育費依頼者(夫・50代・会社員)と妻は婚姻歴20年以上の夫婦であり、子供が2人(長女、二女)いました。長女は大学生で成人しており、二女は高校生で未成年でした。夫婦は別居していませんでしたが、家の中で会話はなく、メールのやり取りだけであり、食事や寝室も別という家庭内別居の状態でした。また、夫婦間で既に離婚の話題が上がっていました。
依頼者は55歳で定年退職となり、退職一時金と年金で総額3000万円を超える金額を受給することになりました。その数か月後に、妻から離婚調停が申し立てられました。申立ての内容は、離婚の他に、二女の親権者は妻、養育費として相当額、財産分与、慰謝料、年金分割といったものでした。
特に退職金額が非常に高額のため、調停での対応についてご相談を頂きました。
依頼者である男性が、肉体関係を結んだ女性から度重なる金銭の請求をされている事案において、調査の結果、当該女性が申告する事実が虚偽であることが判明し、過大な請求を放棄させる内容で示談したケース
慰謝料男女問題認知依頼者である男性は、風俗店で知り合った女性と継続的に肉体関係を結んでいました。依頼者には相当程度の収入があったことから、当該女性と会う度に、衣服や化粧品をねだられ、購入していました。不動産を購入するための頭金を請求されることもありました。
そのような中、依頼者は、当該女性から、依頼者の子供を妊娠したと告げられ、入院費用を請求されました。さらには、認知を求めない代わりに、未婚の親に対する生活保障として、向こう10年にわたっての生活費の支払いも求められました。積み重なる当該女性からの請求に依頼者は悩み、今後の対応についてご相談を頂きました。
依頼者である夫が、妻から共有財産である預金を浪費したと疑いをかけられ、浪費した分について共有財産への持戻しをした上で財産分与をせよと迫られていたところ、弁護士が介入することによって、持戻しの請求を相当額に抑えた上で協議離婚が成立したケース
不貞慰謝料別居財産分与離婚依頼者(夫・40代・営業職)と妻は、婚姻歴15年以上の夫婦であり、子供が2人(長男・中学生、長女・小学生)いました。夫婦は、お金の使い方(金銭感覚)で揉めることが多く、夫婦関係が悪化しました。依頼者の家は二世帯住宅でしたが、ある時から寝室も別になり、家庭内別居となりました。離婚に向けて本人同士で協議し、2人の子供の親権者を妻とすること、依頼者から夫に対し、養育費として毎月一定額を支払うこと、財産分与として、依頼者の財形貯蓄、個人年金、株式、退職金(自己都合退職を前提とした推定額)を夫婦で分与すること等は大筋合意となっていました。ところが、妻が依頼者名義の銀行口座をチェックし、説明のつかない支出が多すぎる、浪費ではないか等の疑いをかけられました。そして、浪費したと思しき引出しの合計額を夫婦共有財産に持ち戻した上で、財産分与するよう追及されました。持ち戻しによる財産分与の金額について、妻は100万円を越えるような金額を求めるような姿勢を示していました。
途中まで協議が進展していたものの、使途不明の引出しの点で足踏み状態となったことから、依頼者よりご相談を頂きました。