依頼者(女性・30代)と相手方の男性(40代)は、SNS上のお見合いサイトで知り合い、数年にわたって交際関係にありました。当事者双方に婚姻歴があり、お互いに子供もいたことから、同居はしていませんでしたが、当該男性は依頼者に対し、プレゼントを贈った上で婚姻の申込み(プロポーズ)をしていました。また、二人の間には、子供を含めて一緒に生活するための不動産(マイホーム)を購入する話が持ち上がり、実際に二人で売買契約の場に同席することもありました。しかし、不動産の購入や子供との関係等を巡って二人の間に喧嘩が生じ、また認識の違いが生じたことにより、購入した不動産で同居生活が実現されることはなく、二人の関係が修復されないまま、連絡は途絶えました。
そうしたところ、当該男性より、依頼者が一方的に同居を拒否し、かつ連絡を一切無視する態度に出たことによって、不当に婚約破棄されたとして、慰謝料やその他の財産的損害として、600万円近くの支払いを求める損害賠償請求訴訟が提起されました。依頼者は対応に困り、ご依頼を頂きました。
婚約関係にあった男性より、婚約を不当破棄したとして、慰謝料等で600万円近くの支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起された事案において、婚約破棄に不当性はないこと等の反論を尽くした結果、第一審及び控訴審において、いずれも男性の請求が棄却されたケース
ご相談の概要
解決に向けた活動
二人はお見合いサイトで知り合ったものの、一旦別れたり、購入した不動産で同居することもなかったことから、婚約関係の成立自体を争いました。また、婚約関係の成立自体は認められることを想定した上で、不動産の購入等をめぐって両者の見解が異なり、喧嘩に発展した結果、関係が解消されたことから、依頼者が一方的に破棄したものではないこと、仮に破棄だとしても、それは両者の見解・考え方の違いによるものであり、依頼者だけに責任があるものではないから不当な婚約破棄ではないことも併せて反論しました。
第一審においては、裁判所からの打診を受け、和解の可能性を探りましたが、和解金額に関する両者の考えに隔たりがあったため、決裂しました。判決に向けて手続きが進む途中、依頼者の協力もあり、「依頼者が一方的に同居を拒否した」という男性の主張と相反する書類を獲得できたことから、これを証拠として提出しました。尋問手続においては、こうした証拠を踏まえながら、男性の主張内容の不自然性等を尋ねました。そうしたところ、第一審の判決は、婚約関係の成立は認めたものの、婚約関係の破棄について、依頼者に専ら又は主たる責任があるということはできないとして、男性の請求が棄却されました。
男性は第一審判決に対し控訴し、控訴理由書で不服の理由を主張したため、第一審判決が正当であることを改めて証拠や尋問手続の内容を踏まえて反論しました。控訴審でも和解は成立せず、判決となったところ、有効と考えていた証拠を引用しながら、本件では婚約関係の破棄に正当な理由がとして、控訴が棄却されました。
解決のポイント
控訴審まで進んだこともあり、解決までに時間はかかりましたが、完全勝訴の結果に依頼者も満足して頂けました。訴訟手続途中に、男性の主張と相容れない証拠を獲得できたことが勝訴の要因の一つになったと思われます。
その他の解決事例
生後間もない子供がいる状況において、別居婚状態の夫婦が同居生活を巡って対立が生じ、婚姻関係の継続が困難となり、弁護士代理で協議離婚が成立したケース
別居婚姻費用親権離婚面会交流養育費依頼者(夫・30代・公務員)は、仕事柄転勤が多く、妻との婚姻後も、単身赴任する状況が続いていました。妻は実家で生活していたところ、夫婦間では、婚姻後、同居に向けた話題が出ていましたが、同居を開始する時期等について、夫婦間で認識のズレが生じ、対立が生じていました。めでたく夫婦間で子供を授かりましたが、妻は実家で生活していたことから、里帰り出産のような状態となりました。この出産をきっかけとして、妻は実家で引き続き生活することを強く希望し、子供を含む家族3人での同居生活を望む依頼者との対立が深くなりました。
次第に、妻と音信不通気味となったことから、依頼者だけでの対応に限界を感じ、ご相談を頂きました。
有責配偶者である夫から妻に対して協議離婚を要請し、相当程度の経済的補償をする内容で、協議離婚が成立したケース
不貞慰謝料別居財産分与離婚離婚時年金分割養育費依頼者(夫・40代・会社員)と妻は、婚姻期間10年を超える夫婦であり、子供が2人いました(長女及び二女、いずれも小学生)。依頼者は、妻との婚姻生活において、妻から心無い発言を受ける他、家事でちょっとした失敗をした際に妻から嫌味を言われたり、嫌がらせをされたこと等が積み重なり、妻を一緒に生活することが苦しくなっていきました。仕事の都合で、依頼者のみ単身赴任することになりましたが、その単身赴任先で、依頼者は別の女性と不貞の関係となり、後々妻もこのことを知ることとなりました。
妻と一緒にいることはできないという思いが変わらなかったため、依頼者は妻に対して離婚を切り出しましたが、取り合ってもらえませんでした。そこで、何とか離婚したいということで、ご依頼を頂きました。
依頼者である夫が、妻から共有財産である預金を浪費したと疑いをかけられ、浪費した分について共有財産への持戻しをした上で財産分与をせよと迫られていたところ、弁護士が介入することによって、持戻しの請求を相当額に抑えた上で協議離婚が成立したケース
不貞慰謝料別居財産分与離婚依頼者(夫・40代・営業職)と妻は、婚姻歴15年以上の夫婦であり、子供が2人(長男・中学生、長女・小学生)いました。夫婦は、お金の使い方(金銭感覚)で揉めることが多く、夫婦関係が悪化しました。依頼者の家は二世帯住宅でしたが、ある時から寝室も別になり、家庭内別居となりました。離婚に向けて本人同士で協議し、2人の子供の親権者を妻とすること、依頼者から夫に対し、養育費として毎月一定額を支払うこと、財産分与として、依頼者の財形貯蓄、個人年金、株式、退職金(自己都合退職を前提とした推定額)を夫婦で分与すること等は大筋合意となっていました。ところが、妻が依頼者名義の銀行口座をチェックし、説明のつかない支出が多すぎる、浪費ではないか等の疑いをかけられました。そして、浪費したと思しき引出しの合計額を夫婦共有財産に持ち戻した上で、財産分与するよう追及されました。持ち戻しによる財産分与の金額について、妻は100万円を越えるような金額を求めるような姿勢を示していました。
途中まで協議が進展していたものの、使途不明の引出しの点で足踏み状態となったことから、依頼者よりご相談を頂きました。
依頼者と婚約関係にあった男性から、依頼者の生い立ちや国籍を理由に婚約を破棄された事案において、示談交渉が決裂し、訴訟提起したところ、120万円で和解となったケース
婚約破棄男女問題依頼者(女性・20代)と相手方の男性(20代)は、数年にわたり同棲し、交際関係を継続していました。依頼者は外国籍であり、また、元配偶者との間に子供がいましたが、当該男性はこれらを理解した上で、交際していました。双方の両親に対して将来婚姻する旨の挨拶も済ませ、当該の男性の実家で、男性の両親等と生活をともにすることになりました。
しかし、ある日、当該男性の親から、突然、依頼者の外国籍(さらには当該外国での生活状況)や、子供の存在を引き合いに出し、婚姻することは許さないと告げられてしまいました。依頼者としては、当該男性に助けを求める他ない状況でしたが、当該男性は依頼者を庇うどころか、親を裏切ることはできないとして、婚約は破談となってしまいました。
依頼者は、当該男性(及びその親)を許すことができないとして、ご相談を頂きました。
依頼者の夫が依頼者以外の女性と不貞関係に及び、これが原因で夫婦が離婚した事案において、不貞相手である女性に対して不貞慰謝料請求訴訟を提起し、慰謝料190万円で和解したケース
不貞慰謝料依頼者(妻・40代・会社員)と夫は、婚姻歴5年以上の夫婦であり、子供はいませんでした。
ある時、夫婦の自宅に、見知らぬ女性からの通知書が届いていました。内容は、夫と不貞関係にあり、その際に夫に貸し付けた金員の返還を求めるものでした。依頼者が夫を問いただしたところ、夫は、数年にわたり、当該女性と不貞の関係にあったことを認めました。これをきっかけとして夫婦の信頼関係は完全に破綻し、夫婦は離婚しました。
依頼者は、夫だけでなく、不貞相手である当該女性も許すことができなかったことから、当該女性に対する不貞慰謝料請求でご依頼を頂きました。