セクハラした張本人は当該男性教授ですが、当該教授と大学の間には雇用関係があったことから、当該教授だけでなく、使用者責任として大学に対しても連帯して損害賠償請求を通知しました。
これを受けて、大学は、大学構内で当該教授による複数回の身体的接触があったことは認定していたことから、金額はともかくとして、損害賠償請求自体には応じる姿勢でした。これに対し、当該教授は、依頼者に対する性的な言動や身体的接触があったこと自体は否定しませんでしたが、依頼者との合意に基づくものであるから、意に反するセクハラではないなどと反論しました。
依頼者に確認したところ、身体的接触等について合意をしたことはないということであったため、教授と依頼者が合意したことはないということについて、大学側の資料等を引用しながら、反論しました。
当方の反論に対し、教授側は、尚も合意や同意をしていたとの反論に終始しました。他方で、紛争が長引くことは本望ではないとして、いくばくかの解決金を支払う意思はあるということも明示されました。そのため、大学の意向も確認しながら、総額いくら支払うことができるか、教授と大学の負担割合どうするか等を協議しました。最終的に、教授と大学から合計170万円の損害賠償を受ける内容で合意に達したため、三者間で示談書を取り交わし、示談成立となりました。
教授と大学に対して損害賠償請求の通知をしてから示談成立に至るまで、約6ヶ月での解決となりました。
教授は、教授と依頼者の間に合意があったという点に固執していたため、そのまま決裂すれば訴訟移行は避けられない状況でした。他方、大学は訴訟まで発展することを望んでおらず、少なからず調整役を担ってもらったことから、訴訟に至ることなく解決となりました。
セクシャルハラスメントについては、客観的な証拠が残りにくいことや、訴訟で詳細な事実関係が明らかになること自体、被害者にとって苦痛となることが少なくありません。このように、セクハラについては独特の問題を孕んでおりますので、お悩みの方は、京浜蒲田法律事務所の弁護士にご相談ください。