依頼者(妻)と元夫には子供が2人(長男及び二男)いましたが、性格の不一致等を理由に、離婚しました。離婚時、依頼者の収入状況では子供2人を監護養育できるか少なからず不安があったことから、安定した収入のある元夫を親権者とすることにしました。
離婚後、子供2人は元夫と生活をしていましたが、長男が中学生、二男が小学生の時に、元夫と生活していた家を飛び出し、依頼者の住む家に駆け込んできました。子供たちに事情を聞くと、元夫の当たりがきつく、特にお酒が入ると罵られることが多く、怖かったとのことでした。当然、元夫から妻に対し、子供を戻すよう連絡がきましたが、依頼者が子供たちの気持ちを確認すると、元夫との家には戻りたくない、依頼者と一緒に暮らしたいということであったため、実現するためにはどうしたらよいか、ご相談を頂きました。
先立つ離婚によって既に元夫が親権者と指定されていたことから、子供2人について、親権者変更調停を申し立てました。その上で、離婚に至った経緯、離婚時に元夫を親権者とした理由、子供たちが依頼者の下に駆け込んできた理由等を説明し、親権者変更を求めました。
これに対し、元夫は、時に躾として叱ったこともあったが、あくまでも愛情をもって接しており、子供たちの進路も心配であるから、親権者変更には応じられないとのことでした。また、子供たちが家を飛び出したことにより、子供たちに会うことができない状態でいるため、面会交流をしたいとの申し出がなされました。他方で、子供たちにとって母親が必要な存在であることは理解しているという気持ちも明らかとなりました。
調停期日を何回か重ねましたが、やはり元夫は親権者変更については拒否の姿勢が強固でした。子供たちの親権者として、繋がりを持っていたいという気持ちが強い状況でした。他方で、子供たちが母親として一緒に生活することまでは、必ずしも否定する訳ではない様子でした。そこで、元夫から面会交流の申し出があったことから、最初は弁護士事務所で面会交流を実施し、次は外で子供たちと昼食を交えながら面会交流を実施し、段階的に元夫と子供たちの間の面会交流を慣らしていきました。そうしたところ、元夫より、親権者変更には応じられないが、子供たちと定期的な面会交流、長期休みの際は宿泊を伴う面会交流が約束されるのであれば、母親である依頼者を監護者指定することに応じるとの提案がなされました。依頼者は、子供たちと一緒に生活を最優先に考えていたことから、元夫からの提案に応じることにしました。
最終的に、親権者は元夫、監護者は依頼者、月1回程度元夫と子供たちの面会交流(長期休みの際は宿泊付き)、子供たちの就学状況について依頼者から元夫に連絡をすること等を合意内容とする形で、調停が成立しました。
離婚の際、親権者となる親が同時に子供を監護養育するのがほとんどであり、離婚時に親権者と監護者を分ける(「分属」といいます。)ことは滅多にありません。
本件では離婚及び親権者指定が先行していたため、親権者は父親、監護者は母親という折衷的な内容で解決することができました。
離婚の際に一旦親権者を決めると、その後に親権者変更を求めることは容易でありませんので、親権や監護権についてお悩みの方は、お早目に京浜蒲田法律事務所の弁護士にご相談ください。